映写雑記

映画館の設備視点

映写の基本知識「5.1chサラウンド」

なんか最近めちゃくちゃ忙しかったです。こんにちは。

 

今回は、個人的に映画の音の基本だと思っている5.1chというモノの解説とかしていこうと思います。

ほぼ、5.1chとはどんなのかっていう説明なので、知ってるよって人は読んでても特に目新しい物は無いと思います。

 

5.1chとは何か

よく、映画館の上映作品一覧や、ブルーレイディスク等で作品に5.1chサラウンドという言葉が書いてありますね。でもよくわからないという人が結構多いと思います。

この5.1chが何かを知っていると映画を楽しむ時にちょっとだけプラスになるので、今回は映写のビギナーレッスンとして説明したいと思います。

 

5.1ch

これで、「ごー・てん・いっちゃんねる」と呼びます。または「ごーいち」とか「ごー・てん・いっちゃん」とか。

chはチャンネルという意味です。

 

他にも7.1ch、11.1chとか13.1ch等いろいろあります。

このchって何なのって話ですが、これは「独立して音が出てくる方向の数」となります。トラック数とか信号の数とかでもいいんですが、分かりにくいかなと思ってこの言い方にしました。

スピーカーの数ではないです。

 

へー、音の出る方向の数なんだと思った次に、じゃあ5.1の.1はなんだ?ってなると思います。この.1はLFE、つまりサブウーファー(SW)の事を指しています。

なので、5.1chは独立した5方向からの音とSWをつかうLFEの信号が1つという考えで、トータルで6方向から別々に音が出ているという事になります。

 

ここまで分かったら、次は独立した6方向からの音ってどいう事?となると思うので、

5.1chのスピーカー配置の図を描きました。

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 雑ですみません。(´・ω・`)

 

これは天井から劇場を見た絵で、絵の上辺がスクリーン側です。

丸の中にアルファベットが書いてあります。左上から順に

L(レフト)、C(センター)、SW(サブウーファー)、R(ライト)、LS(レフトサラウンド)、RS(ライトサラウンド)、LBS(レフトバックサラウンド)、RBS(ライトバックサラウンド)という意味になります。

この丸のアルファベットがスピーカーだと思ってください。そしてそのスピーカーの各名称となります。

これが映画のスピーカー設置で一番ベースとなるスピーカーの配置です。

そして、数えてみるとスピーカーが8個あります。

5.1chなんだからさっきの音の出る方向の数という説明から考えると、スピーカー6個じゃないの?と思った人も居ると思います。

ここら辺がミソになり、先ほど書きましたスピーカーの数じゃないよって事の答え合わせになります。

 

次の絵を観てみましょう。

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赤線で囲った方向から各個の音が出ます。

赤線の枠数を数えると6個です。

LSとLBS、RSとRBSが同じ赤い枠に入っています。つまり5.1chでは、LSとLBSは同じ音が出ていて、そしてRSとRBSが同じ音が出ています。

もうちょい砕いて説明すると、左壁のスピーカーと、後壁の左壁側のスピーカーは同じ音が出ていて、右壁のスピーカーと後方の壁の右側のスピーカーは同じ音が出ます。

 

スピーカーの数を増やしても、赤枠の数は変わりません。LSと書いてある左壁のスピーカーを10個にしようが、100個にしようがLSはLSなので、LSの音しかでません。そしてそれを1方向とカウントするので赤枠の数は変わらず5.1chなのです。

 

7.1chだと下の絵の様になります。

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LBSとRBSがそれぞれ独立し、LSとRSとは違う音が出せます。なので8方向から音が出るよという事になります。

 

極端な話ですが、これらの全てのスピーカーを一つの赤枠で囲って、全てのスピーカーが同じ音しか出せない場合は、スピーカーに包囲されていても1chという事になります。独立してないので。

 

こんな雑な説明で申し訳ない気がしますが、5.1chの説明はこんな感じになります。

 

現在の映画のサウンドフォーマットと35mm時代

 

現在の主流であるデジタル上映では圧倒的に5.1chサラウンドが多いです。体感9割5.1chで、予算の問題かで2chステレオとかがたまにあります。7.1chが0.5割ぐらいですかね。これは映画館によるとおもいます。ヒヒイロカネドロップぐらいの極まれに3.1chとかあります。シンゴジラとか。

 

IMAXのイマーシヴサウンドや3Dサラウンドと言われる分類のドルビーアトモスは特殊な扱いです。天井をつかったりちょっと多めの機材をつかったりと、音響と建築の設備投資がちょっとかかるためか日本だとあまり流行っていません。ただ海外だと現在の主流はドルビーアトモスIMAXのイマーシヴになりつつあると思います。

 

35mmフィルムの時はもうちょっと複雑でした。私が35mmフィルムをメインで上映していた時は、主にSRD(5.1ch)、SRD-EX(6.1ch)、MONO、ドルビーSR、DTS-SRを日常的に扱っていました。ちょっと古い作品とかだとドルビーAタイプとかも良くありましたね。他にもDTSはROMで読み取るタイプもあるんですが、機械はあれど私自身は一度も使った事はないです。一応機械はついています。一応。

 

ついでに6.1chの説明ですが、バックサラウンドが一つです。7.1chはバックサラウンドがLとRに分かれていますが、分かれてなく、LとRのバックサラウンド合わせてで1chカウントになるのが6.1chです。

 

映画にはいろんなチャンネル数のサウンドフォーマットが存在します。

ただ、チャンネル数が多いからすごいとかではなく、その映画を表現できていればチャンネル数なんて何でもいいと思っています。

 

今回は5.1chがメインの紹介でしたが、映画のサウンドは5.1ch以外に色々種類があって、聴き比べるとそれぞれ味が違って面白いです。なんとなく頭の片隅にでも入れておいて貰えればなと思います。

 

ではまた。

35mmフィルムの音を読み取るえらい子を紹介するよ

 こんにちは、ちょっと間が空いてしまいましたが、まったりマイペースに更新していきます。

 

今回は、フィルム上映で音を読み取る機械をみて行きたいと思います。

今回の犠牲者さんはDolby Digital soundhead Cat.No.702という子になります。

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Cat702

倉庫にほっぽってあった子です。ほっぽってあったのでちょっと汚いのは許して。

 

ではさっそくバラバラにしていきます。

 

フィルムで映画の音を読み取る

まずもって、最初に説明しなければいけない事があります。

それはフィルム上映の音はどこに記録されているのかという事です。

至る所で説明されているので、知っているよという人は飛ばしてください。

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写真は本物の35mmフィルムです。汚いのは使用用途のせいなので、本来はもっときれいだよ。上映で使われない部分です。

左側に注目してもらうと、パーフォレーションというフィルムの穴の間にQRコードみたいなざらざらしたグレーなゾーンがあるとおもいます。このグレーのゾーンに今回メインとなる音声データが焼かれています。AC3というドルビーデジタルサウンドのデータです。私の現場ではSRDという通称で呼んでいます。

その右側にある青色の帯の部分は光学トラックというものでアナログサウンドデータが印刷されています。

 

デジタルサウンドヘッドはこのグレーの部分を読み取る機械です。

青いろの光学トラックを読み取るアナログサウンドヘッドというのも映写機の中にあり、別々に存在します。

 

サウンドヘッドをバラしていきます

さて、観察しながらバラしていこうと思います。

ちなみにフィルムはこうやってかかります。

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右上にかけ方の図のシールが張ってありますのでその通りにかけます。上からフィルムが入って来て、下に抜ける方向です。

※卓上でテンションがかけれないので、最後のローラー付近のフィルムが浮いちゃっていて、導線が分かりにくくなっています、すみません。

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このツルツルのロードローラーのようなローラーの横についているのがLEDで、対向にレンズがついています。先ほどのフィルムのグレーの部分をLEDに充てて読み取っている感じです。

 

一応インストールするときにこのLEDの位置調整があり、この調整が甘いと上手く読み取れません。あとレンズは割とデリケートなのでよく掃除をします。

フィルムって結構、削り粉とかが出る場合があって、その削り粉とかホコリがレンズやLEDにくっついてしまい読み取り不良を起こす事があります。

この辺はアナログの弊害ですね。

あとこのローラーに異物がくっついているとフィルムに縦傷ヴあああああってついちゃうので清掃とチェックもだいぶ入念におこないます。

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このC型の金具はギザギザのスプロケットローラーの上と下についているフィルムのストッパーを抑えるための金具なのですが、たまに割れるんですよね。ちょっとめんどくさい。

 

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見比べないと分かりにくいですが、ストッパーがこんな風に開きます。フィルムを通してる写真と比べてみると分かりやすいかも。

 

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レンズユニットの側面です。冷却用の穴のスキマから読み取りレベルを教えてくれるLEDがみえて、緑色と赤色に光ります。緑色だと良好で赤色だと読み取りレベルが低下している証拠です。

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開けるとこんな感じ。

青いろの四角い箱がダイヤルになっていて、マイナスドライバーとかを突っ込んでカチカチと回すと読み取りの感度調整ができます。

読み取り感度は前の記事にしたCP650のソフトウェア面で観ながら調整します。たまに勘でやっちゃいますけど。エラーレート下がればいいんだよ!(暴論

 

下側の白い端子に電源やらCP650の接続やらのケーブルが刺さります。

 

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裏側を観て行きます。

ネジで止まっているだけなので、簡単に外れます。

 

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外すと基板と、なんて言うんでしたっけ、カウンターウェイトみたいなローラーが入っています。デジタルサウンドヘッドの重量の大半がこいつです。

さっきでてきたロードローラーみたいなつるつるしたローラーの軸についているのですが、一定の速度で回すためのウェイトだと思います。

 

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外すと何やら右側にエンジンのシリンダーとピストンみたいなものがでてきました。

機構自体は表のフィルムストッパーに繋がっていて、簡単に跳ね上がったりしないようなダンパーの役割をしているんだと思いますが、別にこんな複雑にしなくてもよかったのでは、、、

このウェイトがはまっていた軸にボールベアリングが圧入されていますね。

表側と裏側の二つで軸を支えています。

 

表側のベアリングは油さしたり、掃除したりできますが、裏側はここまでばらさないとできないので、やはり回すとかすかにゴロゴロいっています。一日中365日、結構高速で回っているので負担も大きいと思います。荷重はかからないので発熱とかはなさそうですが。

 

油をさして馴染ませておきます。音が消えました。

軸もウエイトがボルト貫通で固定する方式で、空回りしないため、錆止めのつもりでちょっと油を付けたウエスで拭っておきました。

 

今度はまた表に戻ります。

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表のスプロケットローラーです。このローラーもボールベアリングが両端に圧入されています。やはり、バラさないと油がさせないのと清掃ができないのでボディ側は汚れており、ローラーもゴロゴロしていました。

清掃後に油をさして馴染ませて良い状態にもどりました。スプロケット本体にも少し多めに油を含ませて錆止めしておきます。使用するときに油はクリーナーで飛ばして必要量再添付すればいけるはず。たぶん。

 

こういった回転物は軸上で回転の抵抗差が激しくなるとあんまりよろしくないので、定期的に診る必要がありそうですね、、、

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この黒いローラーも例にもれずボールベアリングが両端に入っています。

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このローラー二種類あって、フィルムの捻じれやブレに対応するためか、軸上をスライドできるようにスプリングで浮いてるタイプと上記写真の様にCリングで止めてあるローラーがありますね。良く考えてありますね。

今回Cリングプライヤー持って来てなかったので外せませんでした。無理やり外してもいいんすけど、歪んでしまうので今回は諦め。

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フィルムストッパーのローラーはただのプラローラーでした。

 

何だかんだ、めちゃくちゃ清掃しました。

すべて元に戻して終わりです。

 

映写機上だとばらすのが難しいので、こういった作業は表面だけがメインになってしまいます。というか普通ばらしちゃダメです^q^

 

それと今回ははぶいてしまいましたが、各ローラーのネジに軽めのロック剤がついていたので、バラす人はロック剤もしなおさないと上映中に外れてしまうかもしれない。

 

余談ですが、私の映画館ではCat.No.700というこれより古い、LEDではなく電球タイプの光源になっているデジタルサウンドヘッドも使っています。もうちょっとごついです。機会があればそちらも紹介します。

 

ではまた。

 

 

 

 

 

映画館の音量の決め方

こんにちは、煉獄さんは映画館も守ってくれました。と言わんばかりの映画館業界ですね。

 

 

さて、今回は映画館の音量についてぶつぶつとたれ流していこうと思います。

 

映画館の音量の基本

映画館の音量にはベースとなる基準があります。

映画館に詳しい方は聞いた事があると思いますが、ピンクノイズという「ザー」というテレビの砂嵐の親戚みたいな音を、シネマプロセッサーの規定ボリュームで出した時に音量を測定して、5.1chのシステムであればスクリーンのスピーカーは85dB(デシベル)、サラウンドは82dB、サブウーファー89dBという数値で統一します。ドルビーアトモスとかはちょっと違う基準になるので割合しますが、全部音量は測定してベースが決まっています。

 

そして制作スタジオもこの基準で作られています。

なので理屈的には、映画を作った時の音量をシネマプロセッサーのボリュームを測定時のボリュームに合わせていれば、そのまま映画館でも流せるという事になっています。

それが制作した人たちが聴かせたいボリュームになるわけです。

 

しかし、世の中そんなうまくいきません。

やはり各映画館は映写スタッフが試写テストによって作品ごとによって音量を確認し調整しなければいけません。

 

映画館で音量を決めるワケ

上記でも触れたように、理屈的には音量は決まっていて考える必要がないのですが、色々な理由でそうなりません。その理由の代表的なものを書いていきます。

 

1、そもそも空間の大きさ音響特性、スピーカーが違う

あまり馴染みがないとピンと来ないかと思うのですが、まずスタジオと映画館では空間の大きさが違います、それだけで測定値は同じ85dBだったとしても全く聞こえ方は変わってきます。

スピーカーもスタジオモニターと言われるスピーカーと、映画館用のシネマスピーカー、または最近使われるPA用のスピーカーでも変わってきます。

85dBを測定して数値上は一緒でも、人間の耳はそれ以上に繊細なので一緒になりません。スピーカーだけの話をすれば軽自動車の時速100kmの走行と大排気量の車の時速100kmの走行の余裕の違いと似たようなニュアンスです。

測定の都合の問題で測定器上では85dBでも同じ85dBにはならないという罠もあります。

 

実際に私は制作現場にお邪魔して、そこでまずその作品の音を聞いて、その作品をしっかり基準を出している私自身で測定に関わって音響特性を知っている私のいる映画館のスクリーンで聴き比べましたが、全然一緒にはならなかったです。

制作側が映画館に近い環境で確認してる場合だと、問題なくそのまま行けたりします。

 

※アカデミックカーブなどの音響特性の基準もありますが、ややこしいので省いてます。

 

2、低予算作品などだとスタジオの基準が違う場合がある

映画用のスタジオで作られた作品であれば問題はあまりないと思いますが、スタジオの基準が違うとそもそも合いません。たまーに私の映画館でもあります。

逆もしかりで、しっかり基準を出していない映画館であればそもそも合いませんね。

 

3、接客業ゆえに

一生懸命作っていただいている制作の人には悪いのですが、どうしても音量を抑えなければいけない場合があります。

たとえば子供向け作品です。幼児向けであれば、あまり大きすぎる音は出せません。

子供の耳に負担をあまりかけたくありません。

あと子供の耳は大人以上に敏感で、特に高音は大人に聞こえない帯域までしっかり聞こえています。なのでかなり慎重に考えます。

 

大人向けだったとしても、あまりに高音がキツイとか低音が酷いとかの場合、まずもってお客さんが不快になってしまったり大人でも耳にダメージが生まれます。

常に音の仕事をしていると麻痺しがちなのですが、一般の方の大多数は大音量に慣れていませんし、刺激の強い音に対しての耐性も低いです。

それに「酷い音だ」と制作に文句言う人ってほぼいません。

大体は映画館に言われます。リアルタイムに接客しているので制作に言ってくださいとか言えませんし、そもそもお客さんからすれば、知らんがなって話です。

なのでそこらに気を使わなければいけないため、音量を下げる場合があります。

 

音量で調節ができなかったり勿体なかったりする場合はちょっとこっちで整音してしまいますがまあそれは別の話でもあるので今回は触れません。あくまで全体的な映画館のお話しです。

 

音量の決め方

じゃあ、映画の音量って何を基準で決めてるのという話です。

家で映画を観る時にも使える事なので知っていて損はないと思います。

 

映画の音は基本的にセリフで決めます。セリフを決めれば他の音も自然と適正になります。

家で観る場合は好みのセリフの音量でみると良いと思います。

映写スタッフの観方はちょっとそこから踏み込みが深く、男女の差や言語、録音の質などのたくさんの材料の中から判断して決めます。

 

一番説明しやすいのが言語ですかね。

日本語は母音言語になります。英語は子音言語となります。

英語は日本人の耳にはちょっと痛いと感じる音がリスニングに大事になってきます。なので英語ベースで考えるとちょっと日本人にはうるさいんです。

フランス語や韓国語はかなりアタックが強いので、こちらも普通に聞いていているとしんどくなりやすいです。

その辺を加味して音量を探っていきます。この辺は定量化できないので、経験値が占める割合が大きいですね。

 

それと、スピーカーの性格なども考えて決めてますね。

このスピーカーはヤンチャな子だからこうとか、この子は清楚だからこうとか考えながらやっています。

 

 

とりあえず映画館の音量の基本的な事はこの辺でしょうか。

特別調整の上映などはまた違った尺度になるのでここの話とは変わってきます。

 

ではまた。

映画館のスクリーンについて考える

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こんにちは、今回は映画館のスクリーンについて考えようと思います。

主にカーブドスクリーンについて触れて行きます。

 

僕はフラット(平面)スクリーンが大好きです。でも私の映画館で一番絵が綺麗とおもっている劇場は極度のカーブドスクリーン、つまり湾曲スクリーンというやつです。

 

湾曲スクリーンとは、スクリーン面が平らではなく、弧を描いているスクリーンです。上からみると『⌒』このカッコ内な感じで曲線になっています。適度な湾曲は良いのですが、極度な湾曲はよくありません。

 

湾曲スクリーンのメリットとは?

35mm時代であれば湾曲スクリーンというのはメリットがあったんです。

ただしデジタル映写がメインの現状ではデメリットが大きいです。

あんまりちゃんと覚えてないのですが、そもそも湾曲スクリーンの最大の理由ってたしか、35mmで使うアナモルフィックレンズの歪曲収差を補うためだったような気がします。視野角がちょっと広くなるとかは結構副産物的な理由です。

 

そして正面からみて明らかにパースが利いちゃってるレベルの湾曲ってやりすぎだと思うんですよ。

 

それはなぜかを説明していきます。まず頭にあった謎の絵ですが、あれ湾曲スクリーンを正面からみた形です。

フレーム的には長方形なのですが、湾曲スクリーンは上下が丸く削れます。それは何故か。

左右の辺と中央の距離が違うからです。当たり前ですが、近い物は大きく、遠い物は小さく見えます。

湾曲スクリーンはその遠近法がきいてしまうので、上のような形になります。

 

つまりどうなるか、下の図の観てください。
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冒頭のスクリーンを正面にみた形に赤い斜線エリアを書きました。

プロジェクターの映像は平面で映そうとするため、赤いエリアの絵が欠損してしまいます。これだけでちゃんとした映像ではありません。

 

そしてさらに下の図を観てください。

 

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PJって書いてあるのがプロジェクターです。

青いラインは投影される映像を表しています。

光である以上、映像も遠くになるほど広がっていきます。

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これは上からみた図です。

フラットスクリーンでは赤い点線部分で映像を決めたいのですが、湾曲スクリーンでは中央部分は左右に対して更に距離が生まれます。そのため、中央の絵は左右に比べて広がろうとしているため、膨らむように歪みます。

 

スクリーンは中央が削れているように見えてるのに、プロジェクターからの絵は中央が膨らもうとするのでなにも良い事がありません。

 

これに映写角度がきつくなってくると、さらに欠損が激しくなり、字幕が切れてしまうぐらい映像が切れます。

下敷きなどを少し丸めて、正面斜め上からのぞいてみてください。下の方が丸く欠損しているのが分かると思います。映像もそのようにさらに削れます。

 

スクリーンを貼るのにも弊害が出る。

これは太鼓張りと言われるスクリーンの方法でおきる問題だとおもうのですが、太鼓張りで湾曲していると下の図のようになります。
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黒線が湾曲しているスクリーンフレームを横から見た図です。

赤線はスクリーンの形を書きました。

湾曲しているため、引っ張ってしわを伸ばすという特性のスクリーンである以上、どうしても中央付近がビール腹のようにふくらんでしまうのです。

3次元に歪み過ぎでは。。。

 

 

まあ、湾曲スクリーンって、見た目はカッコいいですよね。

うん。

 

日々このスクリーン悩ましいですね。フラットの劇場もあるので、そちらはとっても良い子です。

あと、正確にちゃんと測ってないのでなんとなくなのですが、音も湾曲面がパラボラアンテナになってしまい、一定の周波数で悪さするのではとも思っています。あくまで推測。

 

あ、でも適度な湾曲スクリーンは良いと思います。ちょっと絵が観やすいです。

今回は極度な湾曲スクリーンのお話しです。

 

ではまた。

 

実写映画「弱虫ペダル」がすごい。

movies.shochiku.co.jp

こんにちは、前回のブログ、読み返すとちょっと偉そうで文章って難しいなと反省してたりしてました。思った事を適当に羅列してるだけのつもりだったんだけど、、、

 

さて今回は公開されて結構経ちました「弱虫ペダル」をお勧めしようかなと思います。

 

私は弱ペダの原作とアニメを観てないので、実写映画だけでのお話しになります。

なので内容には触れませんがオススメする理由があります。

 

オススメするワケ...それは音質が良い

邦画のクオリティというのは割と低いなぁと感じる作品が多いです。低いというのは、映画といよりテレビドラマでは、、、と思う節が多いからかなと思っています。

そんな邦画事情もあり、正直言ってしまえば、あまり期待していなかった映画なのですが…試写してびっくり。

 

「あれ?音良くない?」

 

と洩らしてしまったぐらい良い音ですねこの映画。

マルチチャンネルの使い方がとかそいう小難しいものではなくて、単純に収録されている音の質が高いと思います。

輪郭があって解像度があり、立体感のある音声と思います。テレビ的に作られてる量産映画って常にコンプかかってるようなこう平べったい音だったり雑な音質なのですが、凄く綺麗な音が入っています。

 

セリフの音声も聴き疲れせず、とっても肉声に対してのリニアリティの良さを感じる音質です。

 

最近で記憶に残ってる音のいい邦画とえばキングダムとかも良かったなという印象が残っていますが、それ以来でしょうか、印象に残ったのは。

 

って話を番組担当の某氏に一方的に言った数日後に、どうも聞いた話だとだいぶ力入れてるようだぞっていう事を某氏に言われたので、ほんとに良い録音なのではと思います。

 

音も良いけど絵も綺麗だよ

音ばかりじゃなく絵も綺麗です。

綺麗でもあり、スコープサイズなのが個人的にとっても嬉しいです。

 

ちょっと懐古厨的な考えになってしまうのですが、映画と言えば大画面、大画面と言えばシネマスコープ!(ㇱネスコ)という想いがあるので、ㇱネスコの映画ってだけでもちょっとうれしくなります。作品的にビスタサイズの方が合ってる場合もあるのでビスタも好きですが、ちょっと違うベクトルでㇱネスコが好きです。

 

ただし最近の映画館はウォールトゥウォールといって、壁から壁つまり壁一面がスクリーンになっているラージスクリーンが一般的になって来ています。(IMAXやTCX)

その場合はシネスコサイズの方が小さく映写される形になり、ビスタサイズの方が大きい画面になってしまいます。新しい世代の映画館マニアと古い世代の映画館マニアだとこの辺りに認識の差がありそうで面白そうですね。

 

大人気作品の実写化なのでいろんな意見がある作品だと思いますが、映写クオリティの面からお勧めできる映画です。

 

ではまた

 

TOHOシネマズ立飛の轟音シアターに行ってみた。

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こんにちは、

という事で、ご近所にできたのでTOHOシネマズの轟音シアターなるものに行ってみました。劇場のレビューもなんですが、さすがTOHOさん、頭いいなって思った事があるのでそれに触れようと思います。

 

場内写真はなんかこう迷惑かなと思って撮ってません。ゴメンちゃい。

 

ご近所なので歩いていきました。

モノレールからはほぼ駅直通なので迷わないと思います。となりがフットボールコートになっていて楽しそう。コロナの自粛期間もありここ数ヶ月一回も行かないうちに色々変わってますね。

 

観にきた作品は、シーンカットのタイムコード暗記しちゃってるぐらい馴染み深い「劇場版ガルパン」です。パンツァーフォー

 

ららぽーとから独立した建物

こいうショッピングモールのシネコンて、ショッピングモール内にある事が多いと思うのですが、独立した建物になっています。後付けの映画館なのでたまたまそうなったんですかね?

これは羨ましいですね。楽しい事やりたい放題です

 

あと以前聞いた話だと、この手のショッピングモールに入っている場合、館内のルールに従わないといけない事が多く、深夜作業が難しいという事もあるそうです。

ここは独立した建物なので自由に動けそうですがどうなんですかね。

 

外見やロビーはちょっと安っぽく感じたのでコストカットを徹底して作ったのかなと感じましたが、何故か建物自体はとっても頑丈な感じです。

やはり新しいのでとっても綺麗な建物です。

 

箱のインプレ

ドリンクバーがとかネタはありますが、専門外なのでスルーします。

さっそく、劇場のインプレをしていきます。

轟音シアターは5番スクリーンになります。入り口にスクリーンサイズが書いてあって11mx4.7m(間違ってたらごめんなさい)。あれ、私のところの最大キャパ劇場とあんま変わらんというかちょっと大きい。

劇場サイズが一回り小さいのでスクリーンの満足感は高いですね。時代に合っていますね。

私のいる映画館、こいうベースの部分は古い設計だよねと思います。

 

劇場に入場した時の印象は、「めっちゃ静か」でした。

室内の騒音レベルを表したNC値というものがあるのですが、NC値だいぶ低いと思います。

空調も全く聞こえないし、外の音も聞こえませんでした。外見からは想像できません。

歩いた感じもめちゃくちゃしっかりした建築の印象。

 

壁のファブリックも光の反射が抑えられて良いです。

余計な装飾もなくコストカットのためかもしれませんが、シンプルな内装がいいです。座席部分に装飾ライトみたいなのとかあると反射してほんと観てて気が散って辛い。

と言った手前なんですが、壁の上の方の謎のパターン模様の部分がえらく反射してしまっていて残念でした。せっかく他がいいのにここだけもったいない。。。

 

残響時間はちょっと短めですかね。結構デッドな印象。

全体的な箱の残響や定在波の感覚を調べたかったけど一人拍手しながら場内歩くとか羞恥心に勝てずできませんでした。

 

音を聞いてみた感じですが、この建物って地下室ないんですかね?SWの鳴りはとってもくっきりすっきりしていて、床抜けしてしまう感じがなくとってもよかったです。とは言え浮き床かもしれませんが、普通のシネコンだとやはり上下の階にちょっと低域は抜けてしまってパワーロスしてるような感覚があるんですが、しっかり伝わってきます。すばらしいですね。

箱の総評は結構な好印象です。

 

画のインプレ

スクリーンサイズは箱のサイズに対して適切な大きさでとても良いいと思いました。

ただ画ですが、スクリーンの問題なのかフォーカスが甘いのかはちょっと眼鏡持って行き忘れたのでわかりませんが、全体的に微妙です。せっかく箱の迷光環境も映写角度も悪くないのに何故そうなった。。。特にアニメなので目立ってしまっているんですが、輪郭線にジャギー感があり、色というかスクリーン表面の雑味が多いです。

表面の雑味はスクリーンの問題な気がしますがどうなんでしょう。

 

 音のインプレ

 この劇場で使われてるカスタムメイドのスピーカーですが、ESFというメーカーさんのカスタムオーダーメイドですね。

実は私の映画館もESFのオリジナルカスタムオーダーメイドのスピーカーを1劇場だけ使用しています。なので期待していきました。

 

SWはアイソバリック方式とあります。確かに、コーントゥコーンタイプが堂々と鎮座しています。エンクロ観る限りベンテッドコーントゥコーン?

 

サラウンドはこれは3Way?4Way?どっちですかね。一番下はコアキシャルユニットで上二つがMidとLowなのかMid-Low二つなのかちょっとわかりません。セオリー通りならMid-Low二つ?最近の流行りってMTMでなるべくコアキシャルっぽい感じで設計するのが流行りだと思うのですが、あえてこのタイプの理由が気になりますね。

指向性が強いHiユニットが下部にきて耳に近くなり、指向性の緩いLowユニットが上にあるので音の低重心化を狙ったんでしょうか。

 

さて視聴の感想ですが、

 

良い所は、あれです。音の統一感があるので、繋がりがいいですね。Bチェーン担当しているジーベックスさんのポテンシャルが高いです。

LFEも輪郭がくっきりしてて、変にボわついていないのですっきりしています。

箱の良さもありそうですね。

 

音自体はスピーカーなのか、ルーム特性の都合でそうするしかなかったのか分からないですが、とてもローファイな音という印象です。解像度がもうちょっと欲しいな?

うーんでも、こいう感じの方が一般に聴き馴染みがある音になりやすいので、いいのかな~

 

もしかしたら、聴きやすさを優先するためにわざと耳につきそうなところを手あたり次第に叩いてるのかもしれません。作品ごとの調整はしてないですよねこれ多分。

でも良くまとまっていると思います。

 

轟音という言葉につられて見に行きましたが、普通に良く出来た劇場でした。

 

TOHOさん頭がいい

ああ、頭いいなと思ったことがあります。

轟音シアターっといって、劇場自体に轟音というレーベルを貼ってあります。つまりその作品ではなくその劇場で上映すると轟音となるわけですよねこれ。

一般的に爆音上映とかなんちゃら上映って、劇場につけているわけじゃなくて、作品につけています。私の映画館でも勘違いされてる事多いですけど、そのメイン劇場でかかるから○○上映ってわけじゃないですよ。

これが頭いいなって思う事がありました。うん。まあそうなるよねっていう。

 

今回は轟音しか観れませんでしたが、近いうちにIMAXとプレミアムシアターもいってみたいと思います。

ただ先に横須賀のヒューマックスに行きたいんですよね。めっちゃ気になっています。

 

ではまた。

 

 

映画館でステレオ音源はとても難しい(後編)

 

achamiya.hatenablog.com

 こんにちは、今回はこの後編です。

 

前回は左右で同じ音を出すのは難しいという話をしました。

そしてファントムセンターってものがあるよっていう話をしました。

では、後編では何でそれがステレオ音源の再生が難しいとの話になるのかをもうちょっと詳しくしていきたいと思います。

 

音がふらつく

スピーカーは高い音から低い音と結構幅広く出せます。

そしてその音が耳に届くまでに色々干渉されて変化します。

 

その変化の中に、音が消えたり、音が増幅してしまうという変化があります。

そして、その変化は、左と右のスピーカーから出た音たちは各々変化するため、左右で音が違う変化をしたりします。

しかし、変化しない音もあります。

 

つまりどいう事になるか。

左と右のスピーカーから全く同じ音を出したとしましょう。

その時に、左の音は高い音から低い音までちゃんと耳に届いたとします。

けど右の音は高い音が消えてしまい、中ぐらいの音と低い音だけが耳に届いてしまう。

という事がおきます。

 

そうすると、中ぐらいの音と低い音だけファントムセンターになり、高い音は左の方向から音がするという現象がおきます。

 

実際に聴けるようにステレオ音源用意すればいいんでしょうが、作る環境がないのですみません。

 

今はざっくり高い音、中ぐらいの音、低い音の三つの音で例えましたが、音はいっぱい高い音から低い音まであります。それら全てが作用するので、音がゆらゆらと不安定に聞こえてしまうという現象がおきます。これが音がふらつくという事です。

 

歌声やセリフは上下する

皆さんご存知のとおり、歌声とかは高いパート低いパートとありますよね。

セリフの声も役者さんの演技で高かったり低かったりします。

先ほどの音がふらつく現象がここでもおきます。

 

例えば低い声の時は真ん中で聞こえるのに高い声は左にいってしまうというさっきの例え話と同じ現象がおきます。

そしてそれは左だけじゃなくて左右にふらついたりもするので、音が前から欲しいのにあっちこっちに飛んでしまいます。※その劇場やシステムによって変わってきます。 

聞いていてとっても耳が忙しくなります。

 

ただし映画館で見る場合よくわからない

ここまで説明したステレオでの再生ですが、座る席が右側だった場合右スピーカーの音しか聞こえなくなるので、それがしっかり再生できている劇場なのかどうかは本当にど真ん中の席に座っていないとわかりません。良い捉え方をすれば誤魔化せるという事なのですが、個人的にはちゃんとした再生がお届けできないので好きじゃないんです。

 

 

千と千尋のEDが難しい理由

やっとこれの話ができます。だいぶ駆け足での説明になってしまったここまでの説明ですが、

千と千尋のED、有名な「いつも何度でも」ですが、これ映画の本編できくと、何故かボーカルがLCRの前面三つのスクリーンスピーカーに同じぐらいの音量でいます。

 

さて、ステレオ2chでもとっても難しいと言いました。

3chに増えてしまっています。

 

難しいじゃなくてこれはもうおにちくです、、、

どう頑張ってもボーカルが左右にふらふらしてしまいます。

そもそもセンターにボーカルがいるのでそこはいんですが、左と右の相性だけを考えるだけじゃなくて、左と真ん中、右と真ん中、と見なきゃいけない音が増えてしまっています・・・

透明感のあるとっても通る美しい歌声がなんか治りが悪い、、、

しかも声が高いから本当に難しい、、、

距離が近い劇場であればまだなんとかなりやすいですが、大劇場だと難しいですね。

 

このエンドロールのいつも何度でもを完璧に鳴らせるシステムをお持ちの方は素晴らしいシステムだと誇っても誰も文句言えないと思います。少なくとも私はそうお思います。

 

 

実際書き起こしはじめると、着地点がわからず最後は駆け足になってしまいましたが、こんな感じです。

5.1ch以下のシステムの映画館って見つけるのが相当難しいと思うので、作る側の人も是非センタースピーカーを気兼ねなく使ってもらいたいですね。

 

ではまた。