映写雑記

映画館の設備視点

映画「ジャズ喫茶ベイシー」はカッコいい

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こんにちは、

 

今日は、がっつりお手伝いさせてもらった映画「ジャズ喫茶ベイシー」を書いていこうと思います。

 

映画といっても岩手にあるジャズ喫茶であるBASIEのドキュメンタリーですね。

ただこの映画、星野監督やスタッフの方々のコダワリが凄いんです。

 

監督のコダワリを感じる作品

音響調整するにあたって、監督から先にイメージを頂いたので、それを元にベイシーを想像して創造するというのが今回の私のコンセプトでした。

 

本来であればベイシーに行って音を覚えてくるつもりだったのですが、緊急事態宣言とかぶってしまい叶いませんでした。ただJBLは馴染みのあるメーカーなので、あの年代のJBLは多分こんな音ではというのを考えました。

せめてD130のユニットの音でも聞いておくかと思ったのですがちょっと用意が間に合わなかったです。

 

と色々考えていたんですが、実際に音を聴いたら

 

めっちゃ音良いな?

 

これが第一声でした。このままで良いのでは…と思ったぐらい。

あと音もですが、絵も綺麗です。

しっかり映写できている劇場であればかなりびっくりできる画質だとおもいます。

画の構図も音と一緒でとっても「カッコイイ」です。

 

画と音の両方がかみあって、ベイシーをしらない私でもベイシーにいる気分になりました。

 

ベイシーのコダワリを感じる

監督のコダワリの中にベイシーへのコダワリと、音と画を通してベイシーのマスターである菅原さんのコダワリを感じます。

というか菅原さん自体がとってもカッコイイおじさんで、こんなおじさんになりたいって思う方ですね。

 

サラウンドの使い方や、演出に監督のベイシーへの愛まで感じました。

 

なので、私もそれを映画館として出来る限りお客さんに届けてぇなぁという想いが強くなり、携わらせてもらってとっても嬉しかったです。拘ってる物って製作陣以外の人にもポジティブな気持ちにさせてくれるのでとても好きです。

 

というかドキュメンタリーのベイシーでここまで音と画を綺麗にできるなら、普通の邦画ももっと頑張れるのでは。。。いや、最近少しずつクオリティ上がって来てますが、世界基準で考えるとちょっと速度が遅いんですよね、、、

 

ぜひ劇場で観て欲しい

今回、星野監督とは間接的なやり取りだけで、音響調整は仕込む→別日に監督さんたちに観てもらい修正点を貰う→修正するを私のスケジュールがつかず、別々で行ったので直接お会いすることはできませんでしたが、この作品に携わらせてもらってありがとうございましたと言いたかった、、、

 

公開館数は少ないですが、私の映画館に限らず、是非ジャズ喫茶ベイシーを劇場で見て貰えると嬉しいですね。何処の映画館でもきっと素晴らしいクオリティで観れると思います。

 

羅小黒戦記がすごい。

luoxiaohei-movie.com

こんにちは、また緊急事態宣言などが発令?されてしまいましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 

さて、

ロシャオの吹き替え終わったらロシャオのブログ書くよって言ってたら、好評なため期間が延長し、いつまでたってもブログが書けずにいました。もういいや!と思ってブログにします。

 

私の所では、ファーストランではなく遅れての上映だったので、ロシャオ自体を観たのも去年の終わりごろで、ロシャオの仕込みをした時でした。

 

初見で観たときは、ボロボロ泣いてしまいました。

ベターだけどあれはずるいって、、、

そして中国アニメのクオリティが侮れない。数年後には日本のアニメ業界は抜かれてしまうのでは?と思うほどに凄かったです。

 

中国語オリジナルの日本語字幕版も上映しているのですが、そっちはあまり関わっていないので、今回は触れません。

 

吹替えを観たときの印象は、とにかくマットな印象でした。

色の塗り方や色使いの関係もあると思うのですが、音もマットな印象。

 

私のいる映画館はちょっとライブ、つまり残響感がある箱の設計で、不必要なリバーブ感を感じたので、たぶんスタジオだとこんな音だったのでは!と思いながらその差を修正していきました。ただその劇場の良さを残しつつ殺さずと、この辺は感覚なので言語化ができず、上手く説明できないのですが。

 

その過程で、ちょっと日本アニメ特有の男性の声より女性の声が大きく聞こえちゃう現象をなんとかできないかなと、考えてた方法を試してみました。

 

女性の声が大きく聞こえてしまう現象は、人間の耳の特性上しょうがないのですが、スタジオではあまりその差を感じないので、単純に再生環境の箱の大きさの差だと思っています。

 

そんな事を盛り込みつつ、日本語吹き替えを担当した岩浪さんにも監修してもらってOKをもらったので、まあ間違ってないはず。

 

 

後学のために字幕版も観たのですが、とても勉強になりました。。。つかオリジナルはそんなにマットな感じじゃなかったな?

 

今回は、ちょっと個人的メモみたいなニュアンスもあるので、解説要素は少な目ですすみません。

ではまた。

 

 

田舎の映写スタッフが選ぶ2020年映画

こんにちは、まあいろんな流行りというか流れに乗っかって私も今年の映画を振り返って、個人的ベストムービーをいくつか選ぼうかなと思います。

今回は、映写視点とかじゃなくて、単純に私が好きな映画を選んでます。

なので理論的ではなく凄く気持ちで書いているので語彙力はありません。

 

 

 

フォードVSフェラーリ

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以前、ブログでも書きましたが、フォードVSフェラーリです。

車好きとしてはこの映画は神映画の一つですね。ハイ。いやーもう凄くよかった。

僕もストップウォッチ盗んできます。男の子の好きが詰め込みまくられてる映画ですね。あーもう好きっ!フォードGT40とフェラーリのエンジンサウンドはえっちっちーのよいよいよいですね。

 

ミッドサマー

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公開時に話題になりましたね。ミッドサマー。

熊さんキャンプファイヤー!!

是非カップルとかデートで観て欲しい最高のラブロマンス映画です。終わった後の感想トークで盛り上がる事間違いなしですね。お互いの距離も短くなります。いやもうほんとリア充映画。すごくよかった!※感想には個人差があります。

 

初恋

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窪田くんが好きなんです。

こいうギャグが入っているバイオレンスノリが凄く好きなんですよね。

あとクズしかいない感じで良いです。染谷君のキャラがドツボです。

シリアスなのにギャグっぽい雰囲気。ベッキーにぼこぼこにされた人はご褒美では?

 

悪人伝

klockworx-asia.comマ・ドンソクも好きなんですよ。

ガムテープデスマッチから好きです。

韓国映画ってこいう黒いというかこいうシリアスな内容とっても上手いですよね。

深夜にお酒飲みながらリビングでみてると楽しいやつです。

 

TENET

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どうしてそこまでLFE入れるの!!SWのライフはもう0よ!!ってレベルでちょっと頭おかしいサウンドデザインです。いやほんと。

規定値で出した映画館でスピーカーが無事だった映画館はいくつあるのでしょうか。

個人的に時間逆行というかタイムパラドックスとかそいう話が大好物なんです。

おじさんどうしがイチャイチャしてる友情ストーリー良いですね(悦

 

 

ワンダーウーマン1984

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魔女がいっぱいと悩んだんです。悩んだ理由はアンハサウェイとガルガドット、両方好きすぎて選べない、、、!!!

ただ今回の劇中ファッションの好みの僅差でワンダーウーマンを選ばせていただきました。

ひたすら4K映像で見続けるガルガドットの美しさにひれ伏していました。ガルガドットが美しすぎてあんまり内容覚えてません。僕はガルガドットを観ているだけで幸せになれます。

 

以上になりますが、今年はやはりコロナの影響で映画が少なかったですね。

ヴァイオレットエヴァーガーデンとかもあるんですが、実はまだ観てないので入ってません。観てたら入ってますね。

ロシャオヘイは吹き替えの上映が終わったら調整レポートも含めてブログにしようと思っているので入れませんでした。

007やキングスマンも延期しちゃってますし、公開してたら語りたかったですね。

 

映画館業界は色々不安なご時世ですが、頑張って行きたいと思いますね。

来年は映画館で映画を楽しめる年になるといいなぁ

 

ではまた

映写の基本知識「5.1chサラウンド」

なんか最近めちゃくちゃ忙しかったです。こんにちは。

 

今回は、個人的に映画の音の基本だと思っている5.1chというモノの解説とかしていこうと思います。

ほぼ、5.1chとはどんなのかっていう説明なので、知ってるよって人は読んでても特に目新しい物は無いと思います。

 

5.1chとは何か

よく、映画館の上映作品一覧や、ブルーレイディスク等で作品に5.1chサラウンドという言葉が書いてありますね。でもよくわからないという人が結構多いと思います。

この5.1chが何かを知っていると映画を楽しむ時にちょっとだけプラスになるので、今回は映写のビギナーレッスンとして説明したいと思います。

 

5.1ch

これで、「ごー・てん・いっちゃんねる」と呼びます。または「ごーいち」とか「ごー・てん・いっちゃん」とか。

chはチャンネルという意味です。

 

他にも7.1ch、11.1chとか13.1ch等いろいろあります。

このchって何なのって話ですが、これは「独立して音が出てくる方向の数」となります。トラック数とか信号の数とかでもいいんですが、分かりにくいかなと思ってこの言い方にしました。

スピーカーの数ではないです。

 

へー、音の出る方向の数なんだと思った次に、じゃあ5.1の.1はなんだ?ってなると思います。この.1はLFE、つまりサブウーファー(SW)の事を指しています。

なので、5.1chは独立した5方向からの音とSWをつかうLFEの信号が1つという考えで、トータルで6方向から別々に音が出ているという事になります。

 

ここまで分かったら、次は独立した6方向からの音ってどいう事?となると思うので、

5.1chのスピーカー配置の図を描きました。

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 雑ですみません。(´・ω・`)

 

これは天井から劇場を見た絵で、絵の上辺がスクリーン側です。

丸の中にアルファベットが書いてあります。左上から順に

L(レフト)、C(センター)、SW(サブウーファー)、R(ライト)、LS(レフトサラウンド)、RS(ライトサラウンド)、LBS(レフトバックサラウンド)、RBS(ライトバックサラウンド)という意味になります。

この丸のアルファベットがスピーカーだと思ってください。そしてそのスピーカーの各名称となります。

これが映画のスピーカー設置で一番ベースとなるスピーカーの配置です。

そして、数えてみるとスピーカーが8個あります。

5.1chなんだからさっきの音の出る方向の数という説明から考えると、スピーカー6個じゃないの?と思った人も居ると思います。

ここら辺がミソになり、先ほど書きましたスピーカーの数じゃないよって事の答え合わせになります。

 

次の絵を観てみましょう。

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赤線で囲った方向から各個の音が出ます。

赤線の枠数を数えると6個です。

LSとLBS、RSとRBSが同じ赤い枠に入っています。つまり5.1chでは、LSとLBSは同じ音が出ていて、そしてRSとRBSが同じ音が出ています。

もうちょい砕いて説明すると、左壁のスピーカーと、後壁の左壁側のスピーカーは同じ音が出ていて、右壁のスピーカーと後方の壁の右側のスピーカーは同じ音が出ます。

 

スピーカーの数を増やしても、赤枠の数は変わりません。LSと書いてある左壁のスピーカーを10個にしようが、100個にしようがLSはLSなので、LSの音しかでません。そしてそれを1方向とカウントするので赤枠の数は変わらず5.1chなのです。

 

7.1chだと下の絵の様になります。

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LBSとRBSがそれぞれ独立し、LSとRSとは違う音が出せます。なので8方向から音が出るよという事になります。

 

極端な話ですが、これらの全てのスピーカーを一つの赤枠で囲って、全てのスピーカーが同じ音しか出せない場合は、スピーカーに包囲されていても1chという事になります。独立してないので。

 

こんな雑な説明で申し訳ない気がしますが、5.1chの説明はこんな感じになります。

 

現在の映画のサウンドフォーマットと35mm時代

 

現在の主流であるデジタル上映では圧倒的に5.1chサラウンドが多いです。体感9割5.1chで、予算の問題かで2chステレオとかがたまにあります。7.1chが0.5割ぐらいですかね。これは映画館によるとおもいます。ヒヒイロカネドロップぐらいの極まれに3.1chとかあります。シンゴジラとか。

 

IMAXのイマーシヴサウンドや3Dサラウンドと言われる分類のドルビーアトモスは特殊な扱いです。天井をつかったりちょっと多めの機材をつかったりと、音響と建築の設備投資がちょっとかかるためか日本だとあまり流行っていません。ただ海外だと現在の主流はドルビーアトモスIMAXのイマーシヴになりつつあると思います。

 

35mmフィルムの時はもうちょっと複雑でした。私が35mmフィルムをメインで上映していた時は、主にSRD(5.1ch)、SRD-EX(6.1ch)、MONO、ドルビーSR、DTS-SRを日常的に扱っていました。ちょっと古い作品とかだとドルビーAタイプとかも良くありましたね。他にもDTSはROMで読み取るタイプもあるんですが、機械はあれど私自身は一度も使った事はないです。一応機械はついています。一応。

 

ついでに6.1chの説明ですが、バックサラウンドが一つです。7.1chはバックサラウンドがLとRに分かれていますが、分かれてなく、LとRのバックサラウンド合わせてで1chカウントになるのが6.1chです。

 

映画にはいろんなチャンネル数のサウンドフォーマットが存在します。

ただ、チャンネル数が多いからすごいとかではなく、その映画を表現できていればチャンネル数なんて何でもいいと思っています。

 

今回は5.1chがメインの紹介でしたが、映画のサウンドは5.1ch以外に色々種類があって、聴き比べるとそれぞれ味が違って面白いです。なんとなく頭の片隅にでも入れておいて貰えればなと思います。

 

ではまた。

35mmフィルムの音を読み取るえらい子を紹介するよ

 こんにちは、ちょっと間が空いてしまいましたが、まったりマイペースに更新していきます。

 

今回は、フィルム上映で音を読み取る機械をみて行きたいと思います。

今回の犠牲者さんはDolby Digital soundhead Cat.No.702という子になります。

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Cat702

倉庫にほっぽってあった子です。ほっぽってあったのでちょっと汚いのは許して。

 

ではさっそくバラバラにしていきます。

 

フィルムで映画の音を読み取る

まずもって、最初に説明しなければいけない事があります。

それはフィルム上映の音はどこに記録されているのかという事です。

至る所で説明されているので、知っているよという人は飛ばしてください。

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写真は本物の35mmフィルムです。汚いのは使用用途のせいなので、本来はもっときれいだよ。上映で使われない部分です。

左側に注目してもらうと、パーフォレーションというフィルムの穴の間にQRコードみたいなざらざらしたグレーなゾーンがあるとおもいます。このグレーのゾーンに今回メインとなる音声データが焼かれています。AC3というドルビーデジタルサウンドのデータです。私の現場ではSRDという通称で呼んでいます。

その右側にある青色の帯の部分は光学トラックというものでアナログサウンドデータが印刷されています。

 

デジタルサウンドヘッドはこのグレーの部分を読み取る機械です。

青いろの光学トラックを読み取るアナログサウンドヘッドというのも映写機の中にあり、別々に存在します。

 

サウンドヘッドをバラしていきます

さて、観察しながらバラしていこうと思います。

ちなみにフィルムはこうやってかかります。

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右上にかけ方の図のシールが張ってありますのでその通りにかけます。上からフィルムが入って来て、下に抜ける方向です。

※卓上でテンションがかけれないので、最後のローラー付近のフィルムが浮いちゃっていて、導線が分かりにくくなっています、すみません。

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このツルツルのロードローラーのようなローラーの横についているのがLEDで、対向にレンズがついています。先ほどのフィルムのグレーの部分をLEDに充てて読み取っている感じです。

 

一応インストールするときにこのLEDの位置調整があり、この調整が甘いと上手く読み取れません。あとレンズは割とデリケートなのでよく掃除をします。

フィルムって結構、削り粉とかが出る場合があって、その削り粉とかホコリがレンズやLEDにくっついてしまい読み取り不良を起こす事があります。

この辺はアナログの弊害ですね。

あとこのローラーに異物がくっついているとフィルムに縦傷ヴあああああってついちゃうので清掃とチェックもだいぶ入念におこないます。

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このC型の金具はギザギザのスプロケットローラーの上と下についているフィルムのストッパーを抑えるための金具なのですが、たまに割れるんですよね。ちょっとめんどくさい。

 

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見比べないと分かりにくいですが、ストッパーがこんな風に開きます。フィルムを通してる写真と比べてみると分かりやすいかも。

 

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レンズユニットの側面です。冷却用の穴のスキマから読み取りレベルを教えてくれるLEDがみえて、緑色と赤色に光ります。緑色だと良好で赤色だと読み取りレベルが低下している証拠です。

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開けるとこんな感じ。

青いろの四角い箱がダイヤルになっていて、マイナスドライバーとかを突っ込んでカチカチと回すと読み取りの感度調整ができます。

読み取り感度は前の記事にしたCP650のソフトウェア面で観ながら調整します。たまに勘でやっちゃいますけど。エラーレート下がればいいんだよ!(暴論

 

下側の白い端子に電源やらCP650の接続やらのケーブルが刺さります。

 

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裏側を観て行きます。

ネジで止まっているだけなので、簡単に外れます。

 

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外すと基板と、なんて言うんでしたっけ、カウンターウェイトみたいなローラーが入っています。デジタルサウンドヘッドの重量の大半がこいつです。

さっきでてきたロードローラーみたいなつるつるしたローラーの軸についているのですが、一定の速度で回すためのウェイトだと思います。

 

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外すと何やら右側にエンジンのシリンダーとピストンみたいなものがでてきました。

機構自体は表のフィルムストッパーに繋がっていて、簡単に跳ね上がったりしないようなダンパーの役割をしているんだと思いますが、別にこんな複雑にしなくてもよかったのでは、、、

このウェイトがはまっていた軸にボールベアリングが圧入されていますね。

表側と裏側の二つで軸を支えています。

 

表側のベアリングは油さしたり、掃除したりできますが、裏側はここまでばらさないとできないので、やはり回すとかすかにゴロゴロいっています。一日中365日、結構高速で回っているので負担も大きいと思います。荷重はかからないので発熱とかはなさそうですが。

 

油をさして馴染ませておきます。音が消えました。

軸もウエイトがボルト貫通で固定する方式で、空回りしないため、錆止めのつもりでちょっと油を付けたウエスで拭っておきました。

 

今度はまた表に戻ります。

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表のスプロケットローラーです。このローラーもボールベアリングが両端に圧入されています。やはり、バラさないと油がさせないのと清掃ができないのでボディ側は汚れており、ローラーもゴロゴロしていました。

清掃後に油をさして馴染ませて良い状態にもどりました。スプロケット本体にも少し多めに油を含ませて錆止めしておきます。使用するときに油はクリーナーで飛ばして必要量再添付すればいけるはず。たぶん。

 

こういった回転物は軸上で回転の抵抗差が激しくなるとあんまりよろしくないので、定期的に診る必要がありそうですね、、、

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この黒いローラーも例にもれずボールベアリングが両端に入っています。

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このローラー二種類あって、フィルムの捻じれやブレに対応するためか、軸上をスライドできるようにスプリングで浮いてるタイプと上記写真の様にCリングで止めてあるローラーがありますね。良く考えてありますね。

今回Cリングプライヤー持って来てなかったので外せませんでした。無理やり外してもいいんすけど、歪んでしまうので今回は諦め。

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フィルムストッパーのローラーはただのプラローラーでした。

 

何だかんだ、めちゃくちゃ清掃しました。

すべて元に戻して終わりです。

 

映写機上だとばらすのが難しいので、こういった作業は表面だけがメインになってしまいます。というか普通ばらしちゃダメです^q^

 

それと今回ははぶいてしまいましたが、各ローラーのネジに軽めのロック剤がついていたので、バラす人はロック剤もしなおさないと上映中に外れてしまうかもしれない。

 

余談ですが、私の映画館ではCat.No.700というこれより古い、LEDではなく電球タイプの光源になっているデジタルサウンドヘッドも使っています。もうちょっとごついです。機会があればそちらも紹介します。

 

ではまた。

 

 

 

 

 

映画館の音量の決め方

こんにちは、煉獄さんは映画館も守ってくれました。と言わんばかりの映画館業界ですね。

 

 

さて、今回は映画館の音量についてぶつぶつとたれ流していこうと思います。

 

映画館の音量の基本

映画館の音量にはベースとなる基準があります。

映画館に詳しい方は聞いた事があると思いますが、ピンクノイズという「ザー」というテレビの砂嵐の親戚みたいな音を、シネマプロセッサーの規定ボリュームで出した時に音量を測定して、5.1chのシステムであればスクリーンのスピーカーは85dB(デシベル)、サラウンドは82dB、サブウーファー89dBという数値で統一します。ドルビーアトモスとかはちょっと違う基準になるので割合しますが、全部音量は測定してベースが決まっています。

 

そして制作スタジオもこの基準で作られています。

なので理屈的には、映画を作った時の音量をシネマプロセッサーのボリュームを測定時のボリュームに合わせていれば、そのまま映画館でも流せるという事になっています。

それが制作した人たちが聴かせたいボリュームになるわけです。

 

しかし、世の中そんなうまくいきません。

やはり各映画館は映写スタッフが試写テストによって作品ごとによって音量を確認し調整しなければいけません。

 

映画館で音量を決めるワケ

上記でも触れたように、理屈的には音量は決まっていて考える必要がないのですが、色々な理由でそうなりません。その理由の代表的なものを書いていきます。

 

1、そもそも空間の大きさ音響特性、スピーカーが違う

あまり馴染みがないとピンと来ないかと思うのですが、まずスタジオと映画館では空間の大きさが違います、それだけで測定値は同じ85dBだったとしても全く聞こえ方は変わってきます。

スピーカーもスタジオモニターと言われるスピーカーと、映画館用のシネマスピーカー、または最近使われるPA用のスピーカーでも変わってきます。

85dBを測定して数値上は一緒でも、人間の耳はそれ以上に繊細なので一緒になりません。スピーカーだけの話をすれば軽自動車の時速100kmの走行と大排気量の車の時速100kmの走行の余裕の違いと似たようなニュアンスです。

測定の都合の問題で測定器上では85dBでも同じ85dBにはならないという罠もあります。

 

実際に私は制作現場にお邪魔して、そこでまずその作品の音を聞いて、その作品をしっかり基準を出している私自身で測定に関わって音響特性を知っている私のいる映画館のスクリーンで聴き比べましたが、全然一緒にはならなかったです。

制作側が映画館に近い環境で確認してる場合だと、問題なくそのまま行けたりします。

 

※アカデミックカーブなどの音響特性の基準もありますが、ややこしいので省いてます。

 

2、低予算作品などだとスタジオの基準が違う場合がある

映画用のスタジオで作られた作品であれば問題はあまりないと思いますが、スタジオの基準が違うとそもそも合いません。たまーに私の映画館でもあります。

逆もしかりで、しっかり基準を出していない映画館であればそもそも合いませんね。

 

3、接客業ゆえに

一生懸命作っていただいている制作の人には悪いのですが、どうしても音量を抑えなければいけない場合があります。

たとえば子供向け作品です。幼児向けであれば、あまり大きすぎる音は出せません。

子供の耳に負担をあまりかけたくありません。

あと子供の耳は大人以上に敏感で、特に高音は大人に聞こえない帯域までしっかり聞こえています。なのでかなり慎重に考えます。

 

大人向けだったとしても、あまりに高音がキツイとか低音が酷いとかの場合、まずもってお客さんが不快になってしまったり大人でも耳にダメージが生まれます。

常に音の仕事をしていると麻痺しがちなのですが、一般の方の大多数は大音量に慣れていませんし、刺激の強い音に対しての耐性も低いです。

それに「酷い音だ」と制作に文句言う人ってほぼいません。

大体は映画館に言われます。リアルタイムに接客しているので制作に言ってくださいとか言えませんし、そもそもお客さんからすれば、知らんがなって話です。

なのでそこらに気を使わなければいけないため、音量を下げる場合があります。

 

音量で調節ができなかったり勿体なかったりする場合はちょっとこっちで整音してしまいますがまあそれは別の話でもあるので今回は触れません。あくまで全体的な映画館のお話しです。

 

音量の決め方

じゃあ、映画の音量って何を基準で決めてるのという話です。

家で映画を観る時にも使える事なので知っていて損はないと思います。

 

映画の音は基本的にセリフで決めます。セリフを決めれば他の音も自然と適正になります。

家で観る場合は好みのセリフの音量でみると良いと思います。

映写スタッフの観方はちょっとそこから踏み込みが深く、男女の差や言語、録音の質などのたくさんの材料の中から判断して決めます。

 

一番説明しやすいのが言語ですかね。

日本語は母音言語になります。英語は子音言語となります。

英語は日本人の耳にはちょっと痛いと感じる音がリスニングに大事になってきます。なので英語ベースで考えるとちょっと日本人にはうるさいんです。

フランス語や韓国語はかなりアタックが強いので、こちらも普通に聞いていているとしんどくなりやすいです。

その辺を加味して音量を探っていきます。この辺は定量化できないので、経験値が占める割合が大きいですね。

 

それと、スピーカーの性格なども考えて決めてますね。

このスピーカーはヤンチャな子だからこうとか、この子は清楚だからこうとか考えながらやっています。

 

 

とりあえず映画館の音量の基本的な事はこの辺でしょうか。

特別調整の上映などはまた違った尺度になるのでここの話とは変わってきます。

 

ではまた。

映画館のスクリーンについて考える

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こんにちは、今回は映画館のスクリーンについて考えようと思います。

主にカーブドスクリーンについて触れて行きます。

 

僕はフラット(平面)スクリーンが大好きです。でも私の映画館で一番絵が綺麗とおもっている劇場は極度のカーブドスクリーン、つまり湾曲スクリーンというやつです。

 

湾曲スクリーンとは、スクリーン面が平らではなく、弧を描いているスクリーンです。上からみると『⌒』このカッコ内な感じで曲線になっています。適度な湾曲は良いのですが、極度な湾曲はよくありません。

 

湾曲スクリーンのメリットとは?

35mm時代であれば湾曲スクリーンというのはメリットがあったんです。

ただしデジタル映写がメインの現状ではデメリットが大きいです。

あんまりちゃんと覚えてないのですが、そもそも湾曲スクリーンの最大の理由ってたしか、35mmで使うアナモルフィックレンズの歪曲収差を補うためだったような気がします。視野角がちょっと広くなるとかは結構副産物的な理由です。

 

そして正面からみて明らかにパースが利いちゃってるレベルの湾曲ってやりすぎだと思うんですよ。

 

それはなぜかを説明していきます。まず頭にあった謎の絵ですが、あれ湾曲スクリーンを正面からみた形です。

フレーム的には長方形なのですが、湾曲スクリーンは上下が丸く削れます。それは何故か。

左右の辺と中央の距離が違うからです。当たり前ですが、近い物は大きく、遠い物は小さく見えます。

湾曲スクリーンはその遠近法がきいてしまうので、上のような形になります。

 

つまりどうなるか、下の図の観てください。
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冒頭のスクリーンを正面にみた形に赤い斜線エリアを書きました。

プロジェクターの映像は平面で映そうとするため、赤いエリアの絵が欠損してしまいます。これだけでちゃんとした映像ではありません。

 

そしてさらに下の図を観てください。

 

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PJって書いてあるのがプロジェクターです。

青いラインは投影される映像を表しています。

光である以上、映像も遠くになるほど広がっていきます。

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これは上からみた図です。

フラットスクリーンでは赤い点線部分で映像を決めたいのですが、湾曲スクリーンでは中央部分は左右に対して更に距離が生まれます。そのため、中央の絵は左右に比べて広がろうとしているため、膨らむように歪みます。

 

スクリーンは中央が削れているように見えてるのに、プロジェクターからの絵は中央が膨らもうとするのでなにも良い事がありません。

 

これに映写角度がきつくなってくると、さらに欠損が激しくなり、字幕が切れてしまうぐらい映像が切れます。

下敷きなどを少し丸めて、正面斜め上からのぞいてみてください。下の方が丸く欠損しているのが分かると思います。映像もそのようにさらに削れます。

 

スクリーンを貼るのにも弊害が出る。

これは太鼓張りと言われるスクリーンの方法でおきる問題だとおもうのですが、太鼓張りで湾曲していると下の図のようになります。
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黒線が湾曲しているスクリーンフレームを横から見た図です。

赤線はスクリーンの形を書きました。

湾曲しているため、引っ張ってしわを伸ばすという特性のスクリーンである以上、どうしても中央付近がビール腹のようにふくらんでしまうのです。

3次元に歪み過ぎでは。。。

 

 

まあ、湾曲スクリーンって、見た目はカッコいいですよね。

うん。

 

日々このスクリーン悩ましいですね。フラットの劇場もあるので、そちらはとっても良い子です。

あと、正確にちゃんと測ってないのでなんとなくなのですが、音も湾曲面がパラボラアンテナになってしまい、一定の周波数で悪さするのではとも思っています。あくまで推測。

 

あ、でも適度な湾曲スクリーンは良いと思います。ちょっと絵が観やすいです。

今回は極度な湾曲スクリーンのお話しです。

 

ではまた。