映写雑記

映画館の設備視点

『RRR』を映写視点で観るよ。

rrr-movie.jpこんにちは、久々の更新です。

今回は巷でめっちゃ盛り上がっている『RRR』を観てみようと思います。

映画館で映画を観るエンタメを詰め込んだインド映画

『RRR』は映画館で観てこそ楽しい映画の一つだと思います。
僕、映写技師みたいな事してるのにこんな事いうと怒られるかもしれませんが、人と映画観るのが嫌なので、職場で営業時間外か家でしか映画観ないんです。他館に行くときは映画ではなくシステムを観に行っている感覚ですね。
そんな僕が!これは人と見ると楽しい!!!と思ってしまったほどインドパワーは凄いと思います。
同じ監督の『バーフバリ』や、あれなんだっけ、ハエの奴...すみませんタイトル忘れました。とか他のインド映画も何作品か観てますが(全部ちゃんと見てるのにタイトルが出てこない)どれも映画として映画館で観て楽しい映画です。家で観るのがもったいない。やはり音楽とダンスのせいでしょうか。

『RRR』の映像を観て行くよ

『RRR』の映像は、SCOPEサイズの2K画質です(IMAXバージョンの画面サイズがあるかはちょっと知りません)。
一般的な映画と変わりませんが、色の作り方がインド映画ってちょっと特殊かなって思っています。専門家ではないので何がとはわかりませんが、他の映画よりコントラストが高いような、はっきりした色が多いと思います。

SCOPEサイズなため、TCX等のラージスクリーンだとスクリーンに対して余白ができるため小さく見えてしまいますので額縁や余白が嫌いな人は普通の映画館で観るといいと思います。

『RRR』の音を観て行くよ

スペック的には普通の5.1chです。7.1chとかアトモスは日本ではないと思います(あったらゴメン)。

『RRR』に限らず、インド映画あるあるなのですが、音声が全てアフレコです。なので口の動きと音が全く合っていません。
聞いた話では、インドって使われてる言語がめちゃくちゃ多いらしく、その地域の言語に合わせるためだとかなんとか。
しかしその分、台詞ははっきり入っているのでとても聞き取りやすいです。
ただ英語とインドの言葉でだいぶ録音違いますね。言語としての癖の違いからくる問題でしょうか。

音楽はめちゃくちゃ気持ちよく入っています。こまけぇことはいいんだよっていう気持ちにさせてくれる音楽です。
ボーカルの声もとても綺麗に入っており、インド映画の質の高さに圧倒されます。
映像の作り方も壮大ですが、音楽の作り方や音作りも壮大です。テレビとは違うのだよテレビとはというのを解らされます。もう一度言いますが、テレビとは違うんだよ。な?

しかし、3時間もあるこの映画、さすがに疲れるんじゃないか?と思ったんですが、疲れません。出るとこ出してるし、基本ワイワイしている映画なので何故だ?と思ってインプットのインジケーターをふと見て気づいたのですが、サラウンドを全く使わないシーンが結構あります。
それに必要ない音をしっかりカットしています。
日常シーン等でもサラウンドって意識していない雑音の音などで使ってる事が多いのですが、まったく使ってないシーンがかなりあり、こいう使う使わないのメリハリで耳休めが自然とされるため疲れない音になっているんだなと勉強になりました。

音質もよくあるシャリシャリなHiよりの音ではなくしっかり重心のある音なのも重要な要素かと思います。ちょっとシーンによっては籠る時ありますが。
音がクリアで通る=スカスカのすっきりした音ではないの事が良く分かります。

とまあ質的にもかなり高クオリティな映画なのがわかりますね。

インド映画は、映画を楽しむのに必要な事が全て詰まっているんだよ。
是非、映画館で観てください。

映画館の「リップシンク」

こんにちは、今日は「リップシンク」について考えて行くよ。

 

リップシンクとは。

リップシンクってなんぞやって人に解説すると、音と画の同期の事です。
リップってそのまま唇の事だった気がする。人がしゃべるとき、口の動きと聞こえてくる音がずれると、いっこく堂さんみたいになったりしちゃったり、音楽や効果音が目で見た視覚情報と一致しなくて気持ち悪くなります。なので映画館ではちゃんとリップシンクを調整します。

おもにDCPの話をするよ。35mmはなんか最近やってなかったせいで細かいところ忘れちゃって上手く話せないから、今度やった時に思い出したら書きます。

 

なぜ調整が必要なのか

DCPを再生した時にデータからの映像と音の信号はほぼ同時によーいどんで発信されているとは思いますが、音響機器やプロジェクターを通っている間にいろんな処理が行われ、同じ機械じゃないからどんどん遅延の具合がずれて行きます。

基本的に映像処理の遅延の方が大きいので映像がとても遅れて表示されます。
そうすると、映像と音がズレてしまい、観ててかなりストレスになるので、しっかり合わせます。

どうやって合わせるのか

測定器があります。その測定器をつかって合わせて行きます。
僕がよく観る測定器は1ms単位で測定できるので、1ms単位で合わせていきます。
まず白い四角い点滅映像とその点滅と同時に1kHzのポッポッポッポって鳴るデータをループで再生し、測定器で画と音のズレを測定し、SMSサーバーの音声側か音響機器の方にディレイを入力していきます。

基本的に、出力を速くする事はできないので、出が速い方にディレイをかけていくスタンスですね。

大よそドルビーポイントと言われるポイントか、Bチェーン時に主となるマイク位置の席で合わせます。

リップシンクがズレているというのは

僕の劇場は僕が神経質なのもあって測定ポイントで測定器が0ms表示になるまで調整しますが、だんだん疲れてくるので測定器を微妙に前後に動かしたりしてごまかry

いえ、ちゃんと調整しますが、30msぐらいのズレだとあんまり気にしなくてもいいかもしれません。何故なら、音速340m/秒なので、1msずれると34cm分到達時間がズレます。劇場はニアフィールドというには少し広いので、測定ポイントより10m前のスクリーンに近い座席では、約30ms速く音が聞こえます。逆に後ろになれば音の到達もそれだけ遅くなりますので結局ズレます。41ms以上ずれるとだいたい24fpsの1フレーム分ずれるのでちょっと気持ち悪いですが、結構みなさん、最前列で観たり最後列で観たりしていると思います、しかしそこを気になったって言っている人を一般の人で僕は観た事がありません。IMAXとかの大型の劇場であれば顕著に感じるかもしれませんが。

それと理屈は分かりませんが、音と画が100%合っている状態ってなんか逆にシンクがズレて感じるんですよね。いやほんと理屈はわからないんですが。

音の到達がLRで1msずれるというのは大参事というか大問題なんですが(とはいえ1msレベルで追い込むには箱とか色々な問題があって大変)、画と音に関してのリップシンクについては少し雑に考えても大丈夫かなと思っています。

以前、測定器が無くて、感覚だけで僕とインストーラー業者のベテラン2人の3人でリップシンクを合わせに行った事があったんですが、後日測定器で測ると30msずれてました。そんぐらい難しいです。

まあどのみち、1kHzだけで測定しているので、他の帯域ではちょっとずれてる可能性が高いですけどね。主にLFE。

 

ちょっとした雑学的な感じでした。

 

 

映画館で行うブルーレイ上映

こんにちは、今回は映画館でブルーレイ上映について書いていきます。

 

小さい配給作品や、過去作品でディスク化されている旧作などでは、DCPや35mmフィルムが存在しなかったり権利の問題で、ブルーレイディスクを使い上映する事があります。ミニシアターでは結構頻繁に行われていたりしますね。

その方法と感想です。

 

映画館でBD/DVDを上映する

まずもって、映画館でBD/DVDをどうやって上映するかという話です。
みんなも驚きの、市販している民生機のプレイヤーを使います。

用途は業務なのに。

これは現行でのBD/DVDの映画館の上映業務に耐えうる業務機が無いのでそうなります。使うとしても以前はVictorとかもありましたが今はTASCAMとかデノンで出ているやつでしょうか。そもそも音質も画質も民生機の方が高かったです。あと理由をわすれてしまったのですが、すげえ映画館のオペレーションで使いにくい感じなのとイベントの単発で使うなら問題なかったのですが、映画のフル尺を上映するには不向きだった記憶があります。

35mm映写機時代からブルーレイ上映というのはしばしありましたが、その時は小型の業務用DLPを使い上映していました。

デジタルシネマになってからは外部入力の機能が充実し、大抵のメーカーのプロジェクター(SMSサーバー)でHDMI(またはDVI-D)、HD-SDIが受けられるようになり、最近のモデルは音声もHDMIでそのまま音響ラックに飛ばせるので楽になっています。

 

接続には何パターンかあります。恐らくスタンダードな3タイプが下の図な感じ



①のパターンでは、プレイヤーからシネマプロセッサーとプロジェクターまではHDMIケーブルで接続し、アンプはシネマプロセッサーで常設されているラインを使えるのでとてもシンプルで楽に設置できます。

CP850とか950はHDMIのパススルーができ、その時音声だけ拾って映像はプロジェクターに落とせるので可能な手段です。650とかはできません。750や他のプロセッサーはわからん・・・

バルコのICMP-Xとかの一部あたらしめのSMSサーバーとかはサーバーにHDMIケーブルを挿せば音声を普通にプロセッサーにも送ってくれるのでもっと楽です。

 

②のパターンはプレイヤーに映像と音声をセパレートして送れるプレイヤーか分配器がある場合で可能な方法です。メリットとしては音声を7.1chアナログアウトプットで出来る場合はCP650等でも無理やり受ける事が出来るという事です。ケーブルを作成する必要はありますがRCA→D-sub25pinにすれば出力できます。抵抗とかその辺はわすれました。
機材の問題でこのパターンしか取れない場合があります。

 

③はちょっと特殊かもしれません。こちらも映像と音声をセパレート出来る事が前提ですが、アンプに直行させています。アレこっちの方が②より簡単では?と思う人が居ると思いますが、実はダルイんです。主に音声周りが。
②のパターンはD-subでの接続をした場合になりますが、基本的にケーブルはプロセッサー側のD-subを一本抜き差しするかスイッチャーを創れば準備できます。しかしこの③のパターンは全てのチャンネルのアンプの抜き差しをしなければいけないので結構めんどうくさい。さらに間違えたり忘れたりすると次のDCP上映で音のチャンネル間違ったり、出なかったりするのでリスクも高いです。

しかしプレイヤーとアンプの間にデジタルミキサーが噛ませられる場合は別です。インプットを切り替えるだけなので簡単にできます。

どのパターンを選ぶかは現状の設備次第です。映画館の場合はオペレーションも絡んでくるので、とりあえず上映できればいいという気持ちでやると痛い目にあいます。

それにここに分配器で確認用のサブディスプレイも噛ませたりといろいろ拡張もしていく事が多いです。

普通に上映しているがデメリットとリスクが高い

いろんな映画館で普通にブルーレイでの上映はしています。
しかし、みなさんが考えている以上にこの上映形態はデメリットとリスクが高いので、映写としてはほんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんttttttっとおおうにやりたくないです。

まず、クオリティ面での話をします。
もんすげー単純にリップシンクの同期が取れません。なので当たり前ですが結構ズレます。まあほとんどの人は気にしていませんが、スゲーズレマス。

ただ①のパターンで少し紹介したSMS直差しであればこれは回避できると思います。プレイヤー側で信号の遅延が無ければの話。

映画館の音響設備で一番の遅延が発生するのは恐らくプロジェクターの映像投影です。本来のDCP上映では映像と音声をシンク測定器を使用してディレイを音声側にかけて調整します。サーバー側の送り出しにディレイをかけるかプロセッサーDSPでディレイをかけるかはケースバイケースですが、結構大事な感じで調整します。

民生機のプレイヤーを使っているので、民生機のリップシンクのオート調整が使える環境下であればクリアできますが、映写室と劇場の距離の問題とかでほぼ使えないですし、そもそも調整機能ついてないプレイヤーもあります。
あんまり民生機詳しくないので本当はいい方法があるのかもしれませんが、業務用の環境を考えて作られていないのでしょうがないです。

あと映像の色味の問題があります。
映画館のプロジェクターはDCI基準の色域のセッティングをしているのですが、プレイヤー側の色域の基準が若干ちがいます。一応プレイヤー側の方で、設定が有る場合はDCIの色域に合わせるんですが、どうも色が合わないんですよね。この辺詳しい人いたらむしろ教えてください。民生機マジ分からん。

あと、映像関係でのプロジェクターのインプットの縛りがめんどくさいです。プログレッシブ方式でないとダメとかRGB入力じゃないとダメとか結構しばりがあります。

それに当然ですが、映像も音声もプレイヤーの品質にめちゃくちゃ左右されます。

 

次にオペレーション関係です。

映画館は映画の再生以外にも客電をオンオフしたり、非常誘導灯をオンオフしたり、カーテンマスクを動かしたり結構いろんなアクションを行います。
フィルムやDCPはオートで出来ます。手動でやっている昔ながらの映画館もあるとは思いますが、シネコンは100%全自動でしょう。

ブルーレイ上映はプロジェクターをただのプロジェクターとしてしか使わないので、そのオートメーション機能が全て手動になります。

まず開演のチャイムならしてー電気けしてー、再生おしてー映像映る前にぷろじぇくたーのしゃったーあけてーおんせいみゅーとかいじょしてー

とセルフでやっていかないといけません。終映時に「あ、ちょっとおなか痛い」ってなってトイレ籠ったら誰も止めてくれないので大参事です。客電も点灯しません。

それとブルーレイ上映の悪しき習慣で、普通に市販のディスクを使っている事が多いです。酷いと普通にA○azon直送できます。

その場合、メニュー画面とか、このディスクは営利目的では使えません的なあの文もふつうに映ります。いや営利目的で上映してるがなあ!?って思いながらいつも見ています。お客さんにそれらを見せると、1900円払ってるのになんか家みたいだな。。。ってなってしまうので、それらの画面や、プレイヤーで出ちゃうメーカーロゴみたいなのとかも見せないように頑張る必要があります。

しかもメモリーじゃなくてディスクなので読み込み時間がかかるため、プロジェクターのシャッター機能も使いながら如何に普通の映画上映に見せるかの戦いです。

余談ですが、このプロジェクターのシャッター機構。結構壊れます。とあるメーカーなんて、仕様で壊れるから使わないでねてへぺろって言ってるぐらいです。

細かい事書けばもっとあるんですが、長くなりすぎるのでこの辺で止めておきます。

 

とにかく怖い仕事ってやつです。

 

まあ最後になにより、これに尽きるんですが。

めっちゃ再生が止まる

家だったら、「あれ、なんか止まったな」で済みますが、こちとら映画館での上映なんですよね。ただじゃ済まないんすよ…でも民生機のプレイヤーは悪くないんですよ。だって業務用で使ってしまっているこっちが悪いんだから!!そもそもディスクっていう物理的に回転している物の読み込みってリスクしかないよね。

これやると分かるんですが思っている以上にプレイヤーがフリーズする可能性って高いです。

 

さて、本当に嫌いなのでネガティブキャンペーンばっかりしましたが、ブルーレイでも映画館でみると全然楽しさが違うなって思ってもらえるというポジティブな気持ちもあります。でも嫌いです。

映画館でブルーレイ上映を見かけたら、なんだーブルーレイかーと思わず、映写さんの頑張ってる勇士も含めて、楽しんでみてください。

 

 

『トップガン マーヴェリック』を映写視点で観るよ。

こんにちは。今回は公開されて1週間経ちました、『トップガン マーヴェリック』を映写視点で観ていきたいと思います。ちょっとネタバレぎみな書き方もあるかもしれませんが、基本無いようにはしています。けどネタバレ怖い人は見ないようにお願いします。

topgunmovie.jp

 

この面白さはちょっと予想外だった

映写視点とかいいつつも、単純にものすげー面白すぎました。
オススメの理由、「どちゃくそ面白いから」いやこれだけで成立しちゃうほど、エンターテイメントとして、映画として良くできています。とても面白い。

深く考えると雑な展開だな!!って思ってしまうところも多いのですが、元々戦闘機好き好き脳筋アクション映画なのでそんなこと考えて観る方が野暮ってもんです。

とはいいますが、ストーリーもしっかり86年のオリジナルからしっかり踏襲されており、往年の「トップガン」ファンも大満足だと思います。あと少年漫画大好きだったらたぶん凄く胸が熱くなるとおもいます。僕は大好きな話でした。

 

大きく進化したサウンドデザイン

86年では、アナログトラックだったそうです。ドルビーAtypeとかかな?ちょっと聞いたのを忘れてしまいました。まあ5.1chであるSRDの登場は92年の「バットマン リターンズ」からなので、AかSRだと思います。MONOは流石にないかな?

そして、最近「午前十時の映画祭」ではDCP化された時に5.1chに生まれ変わっていました。
ブルーレイとかDVDも5.1chなのかな?

この5.1chリマスターもかなり良い感じでしたが、まあ年代は感じます。

そしてこの「マーヴェリック」はコロナなどの理由で公開が延期されているので、本当は3年ぐらい前の映画になります、なるのですが・・・

なんでしょう、この古さを感じない音。というか最先端では。ええい、ソニックブームを感じるぞ!

スカイウォーカーサウンドで作られた今作のサウンドですが、最初に音を聴いた時、「うーん頭悪い最高だな?」と思わず愉悦部してしまいました。
そして、スカイウォーカーサウンドで作られて、おそらくあそこの試写室でも観られてると思いますが、あの試写室というかもう大きさがシアターですが、普通に服だけじゃなくてメガネぐらいは揺れると思うぐらい戦闘機の音が出てると思います。
ウチの映画館でも結構出してますが、多分比べるとちょっと控えめなぐらいかなと思います。
あくまで推測ですが。そもそも僕の映画館のSWでは勝負にならないぐらいの数のSWが入ってるので・・・

AMCのドルシネでもたぶん、なんだこれってぐらい出てると思います。
良くも悪くも日本の映画館ってちょっとお上品な傾向があり、mid以下をあまり出さない傾向があるように思います。

けど、ハリウッドクオリティ、邦画でよくあるただLFEが吠えてて雑な音ではなく、めちゃくちゃ良く考えられて作られています。音楽もSEもサラウンド感もやべえっす。

映像は言わずもがな

本当の戦闘機に乗っちゃってるCG無しな飛行が売りでしたが、最高か?
CG技術が進化してもう本物と見分けがつかなくなってきている現代ですが、なんでしょう、本物はやっぱこう観ていて受ける印象がだいぶ違う気がします。

くどいぐらいの戦闘機の飛行シーンがてんこ盛りですが、全て手に汗握ります。
あとGを僕らも体感してしまっていると錯覚するレベルで伝わってきます。

やっぱ本物ですね。
来週からの「アライブフーン」という僕の一押し邦画があります、あれもCG無しのガチカーアクションなのですが、邦画の予算で作られた映画でさえ、アクションシーンで引き込まれます。これは製作者たちの努力の結果でもありますが、やはり人の気持ちを揺さぶるのは本物を魅せられた時なのかなと思いました。

普段あんまり他の映画館いかないけど「マーヴェリック」はIMAX行ってみようかな?

 

この映画、配信されてからとか家でイヤホンとかテレビのスピーカーで観ると、これは映画館で見なきゃダメだったやつって絶対後悔するので絶対劇場で見た方がいいです。

あと86年のオリジナルは履修必須かなと思います、観てなくても面白いけどね。
アマプラで観れます。F-14もいいですがGPZ900Rとポルシェ356Aスピードスターの勇士も是非みてください。

ではまた

『ハケンアニメ!』を映写視点で観るよ。

haken-anime.jp

こんにちは、今回は映画『ハケンアニメ!』を観ていきたいと思います。

映写視点とかいいつつも単に面白かったからオススメしたいなというのがメインです。

東映に必要なのは行城さんでは?

映画業界にいると、なんでこんな面白いのにお客さん入らないんだろう?っていう映画に良く遭遇します。
口コミで広がってファーストラン以降でお客さんが増えるといった作品も稀にありますが、基本的にそんなムーブメントが起きず、映画の上映が終わっていきます。

この『ハケンアニメ!』もなんかそんな感じで終わりそう。。。
小難しい話とかではなくて、分かりやすく面白い作品で、クリエイター業の人以外にも胸にささる感じの内容じゃないかなと思います。

そしてこの作品の規模感で人が入らない原因に宣伝が上手くできていないってのがあると思います。
いやまあ、部署が違うしあまりちゃんと調べてませんけど、しっかり宣伝ができている映画って、僕のような鎖国人間でも普通に生活してて勝手に耳に入ってきますし、そもそも映画業界内の職場なので、一般の人より「こんな作品があるぞ!」と認知しやすいんですが、公開直前まで全く知りませんでした。
やってなくはないっぽいのですが、なんか微妙に広がっていない感じ。

東映さん自分で自分の作品みて!!行城さん見習って!!

昔から作品の宣伝あんまり得意じゃないよねと個人的な感想をもっている配給の一つです。
作品は面白い作品が多いのにね。

キャストの2次元化

いや、なんか言い方が難しいんですが、この映画みてて凄かったのは、出演者の人たちが演技の凄さもあって良い塩梅な2次元の世界を連想させるキャラ設定なんですよね。
実際はこんな人いないだろうけど、凄くいるように納得してしまう良い塩梅というか。

役者さんたちの演技力だけではなくていろんな演出などの要素が合わさってこのような実写映画としてこのキャラ設定で違和感ない感じになるんだろうなーと勝手に考察しています。

なあ鋼の????

映写的な視点も

映写的に観ていても良い作品です。
画はシネマスコープシネスコ)で、音は5.1chです。
最近、シネスコの作品多いですね。僕はシネスコが好きなので嬉しいです。
近々の作品であれば、『大河への道』『死刑にいたる病』『夜を走る』『鋼の錬金術師 完結編』もシネスコです。

あまり映像の構図とかそいう魅せる理屈に関してはわかりませんが、なんかよくわからんけど良い画(カット)がおおい!!と思いました。配色もあると思うのですが、何気ないシーンでも一枚イラストにできそうな感じ。

音も、かなり良く、良い意味で癖がなくとても素晴らしいなと観てて感動しました。

あと声優が声優役として高野麻里佳が出演していますが、めっちゃ一人だけアニメ声だったり、劇中のアニメの声を発声しているシーンで思ったのが、アニメのアフレコの音もこんな声で撮ってくれたらいいんだけどなっと思う録音でした。高いは高い音なんですが、ちゃんと芯があるので「痛え」ってならないんですよね。

アニメで多いなと感じるのが、下の方の音がなくなりすぎてただ「痛え」ってのと歯擦音で耳がやられるぅってなるあの声の音がまかり通ってる理由がわかりません、なんとかしてほしい。

そういえば、さっきちょっとタイトルを出した『死刑にいたる病』もめっちゃおすすめなんですが忙しくてまだ1時間半ぐらいしか観てないので、全部観たらレビューしようと思います。
これ映写が職業で良くないところだと思うのですが、つまみ食いみたいな観方になってしまうのがたまに悲しい。

話それましたが『ハケンアニメ!』オススメです。

 

『シン・ウルトラマン』を映写視点で観るよ

こんにちは、『シン・ウルトラマン』が公開されましたね。
話のネタバレは一切ないですが、劇中の演出的な話は触れますので、一切情報を入れたくない人は観ないようお願いします。

『シン・ウルトラマン』を映写視点で観て行こうと思います。

普通に5.1chでやってきたウルトラマン

シン・ゴジラ』の時はLPCM3.1chという変化球なサウンドスペックでした。
聴いた話ではたしか最初は1chのMONOというサウンドスペックで作ろうとしていたそうです。
流石にそれはダメと一番偉い人にでも言われたのか、でもそれっぽい感じで妥協したのが3.1chなのかもしれません。あんまり詳細はしらないです。

恐らく、当時がMONO音源だったのでそれを再現したかったのかなと思います。
なので今回こそはもしかしたらMONOで来るかもしれない!!と思っていたのですが、普通に5.1chでした。しかも結構バリバリに一部サラウンドしてますし、LFEも鳴ります。

「シン」シリーズは少し身構える

シン・ゴジラ』『シン・ヱヴァンゲリヲン』、あとシンではないですが『サンダーバード55』庵野さんと樋口さんが絡む作品で起きた悲しい事件があります。
この2人の作品を長年観てる人であれば良く分かると思うのですが、文字がいっぱい画面に出てくる癖があります。
そして、演出に拘ったためか、文字の配置を画郭のほんとにキワッキワを攻めた結果、日本全国いろんな映画館で映像上の文字が切れてしまうという事件が発生。

サンダーバード55』なんて最初から文字切れるかもしれないごめんね☆ミ(超要約)という案内が来る始末。※樋口さんが構成担当してるためか日本語の文字配置がたぶん樋口さん
たしかシンエヴァも最後の終劇が~って案内きてた気がする。

今迄のシンシリーズ公開当時、日本の劇場設備インストール業者の大手2社も「画郭なんとかしてくれえ!!」という映画館からのヘルプで連日阿鼻叫喚だったらしいです。
僕の所も例に漏れずがっつり切れました。

そのような過去があるので、今回も多分やばい気がするという気持ちで構えていましたが、さすがに怒られたのか、なんか今回は気持ち全体的に中央よりの文字になっていました。たぶんあれで切れる映画館は無いと思います。

よしよし。

けど実際その中央よりの状態で観ると、確かに画面キワまで文字で埋めた方が「なんかカッコいい」という気持ちもあったので、映写的には嬉しかったですが、演出的にはちょっと残念かもという気持ちもあったりなかったり。

映画館の画郭の話

映画館の映像の話を少しします。
映画の映像ルールとして映像の外枠10%は見切れても差支えないエリア(有効映像域が90%)として作らないといけないというルールがあるそうです。というか映画館側からしてもそうしてくれないと難しいです。

何故かというと、映写角左右上下0度フラットスクリーンというポスプロレベルの画郭レベルを出せる映画館なんてほぼありません。

プロジェクターの映像というのは、固定アスペクト比の長方形で投影されますが、角度が0.1度でもつけば、映像は台形に歪みます。DCIという映画の世界ルールみたいなのがあるのですが、それによりシネマプロジェクターの台形補正は禁止されているので、角度でついた台形歪みはそのまま映さないといけません。

しかし台形がついた状態はかなり視覚上の違和感を覚えてしまうので、35mm映写機ならばアパチュアマスク、プロジェクターなら電気マスクといった映像を任意の形にカットする機構を使い、スクリーンの長方形に映像を当てはめて行きます。
その際映像が切れるので、映らなくても良いエリアが無いと画郭のセッティングができません。

そのため、だいたいの映画館は映像の台形歪みは起きているけど四辺は綺麗な長方形な状態になります。実はすごおおおおおおく良く観ると二段字幕の下段が上段より大きかったりする場合がありますが、台形歪みの影響の一つです※台形も映写角度で形が変わるので全てではありません。
湾曲スクリーンになるともっと複雑になりさらに映像を切り込む事があります。

という上記の仕様が映画館にはありますが、大事な部分が見切れる作品はちょいちょいと出てきます。なら見切れないようにすればいいやんという話ですが、これがちょっとやっかいです。ルール上の10%の欠損OKエリアを上手に使い、そのスクリーンで一番画を観たときの充実感が得られるセッティングを煮詰めていきますし、さらに細かい事を言えば、レンズの仕様とスクリーンサイズと映写距離という問題も出てくるので、なかなかの職人技の域の話です。
なのでルールを無視した作品のためだけに画郭を作るというのは、映写視点だけの気持ちを言えば「公道で速度違反した人のために制限速度を引き上げる」という気持ちで、「何でや」と思う気持ちがあります。

まあ、お客さんからするとそんなんどうでも良いので、映画館が対応するというのもしょうがないとも思ってはいます。ただ、切れてる部分を映すようにするにはいわゆる額縁上映といって、上下左右に黒味を作る形にしないといけない事が多いので、どっちが全体的に良いのかは悩みどころです。
少しとか言って一番文字数が多くなってしまった。

 

『シン・ウルトラマン』は映画館で観ると映写的にもいろんな発見があるかもしれないです。

映画館で必要なスピーカーの音を考える

こんにちは、今回も頭で考えている事を適当にメモ代わりにしていこうと思います。

 

映画で使うスピーカーに欲しい性能

映画で使うと言ってますが、たぶん映画に限らず欲しい性能だとおもいます。
個人的な考えがメインで、基本的に頭は悪いのであんまり音響学とかそいう事はわかってない発言になります。

僕の考えでスピーカーに求める性能は、「HiからLowまで同時に音が出せる」をとても求めています。

それは何故かというと、現実世界で聴く音というのは究極のフルレンジ(1way)音源だと思っています。水滴も爆発音も打撃音や車の走行音、楽器も声も全て、音が発生している点(場合によっては面とか線とか)から同時にHiからLowまで全ての音が出ています。いろんな音で純音(自然界にはそもそも存在しない)以外は解析すると耳で聴こえている音よりかなり広いレンジが入っているというのが分かると思います。

環境でズレていったりはしますが、基本、音の発生源は一つだと考えています。なので、スピーカーもHiとLowの音が同時に出てくるのがよりリアルに近い音になると思っています。

そして、映画は音楽も自然界の音も声も機械の音、宇宙の音からファンタジーの音と想像の世界もいれて世界に存在する音を全て扱っていると言っても過言ではないと思います。
そう考えた時に、録音の事は少しややこしくなるので置いといて、必要だと思うのは、いかに本物の音を再生できるスペックがあるかだと思います。好みの音ではなく理論的に本物の音に近い音が出せるかというのに重点を置くべきで、それが出来れば、あとは制作側で好みに音を作れば好みの音になるし?と思っています。

同時に音を出すのはとても難しい

では、その同時に全ての音を出すスピーカーというのは存在するのかという話ですが、恐らく現存していません。というかスピーカーの仕組み的にとても難しいです。
各スピーカーのメーカーさんたちはとても頑張ってそこを突き詰めて研究されてますが、「だいぶ誤差が減ってきたけど完璧はまだもっと先」というぐらいかなと思っています。

なぜ、難しいかというと、スピーカーは前後の振動で音を出しているわけですが、高い音は細かく振動して低い音は大きく振動する必要があります。
そこで高い音の振動はあんまりエネルギーは必要はないですが、高速で振動する必要があります。
低い音はあまり速く振動する必要はないですが、大きなエネルギーが必要になります。音の成分になる周波数は1秒に何度振動をするかなのと振動の波長の長さの関係などのもろもろの理由から低い音ほど、面積か前後のふり幅を大きくする必要になってきます。

ハエとか蚊などの虫の羽音って高速なのでプーンって高いですが、大きな蛾や鳥になってくるとボフボフと低い音の違いのようなものです。

乱暴な例ですが、想像で構わないんですけど、ハエとか蚊に鳥のような羽音を出せって無理だと思いません?スピーカーもそれと一緒で高い音と低い音の共存が難しいんです。

そこで2wayや3wayなどのマルチウェイ方式が考えられて、高い音と低い音の役割を分けたユニットを搭載してるのかなと思っていますが、運動のエネルギーが全く違うし、運動量が増える分コーン紙が歪んだり、駆動ロスが生まれたりで高い音のユニットと低い音のユニットがそもそも速度が揃わないという状態になります。

小さいうちわで仰ぐ勢いに合わせて人ぐらいの大きさのうちわを仰げって難しいのと一緒です。

さらに、同時に音が出せるようになったとしても音が出ている点が違うので、音が別れて聞こえてしまいます。それを解消するために考えられた機構が同軸ユニットだったり同軸スピーカーだったりしますが、その複雑な構造上いろいろ難しい事になっています。

意外に欠陥だらけだぞスピーカーの仕組み!!

そしてそこに電気信号のうんたらかんたらや波形の形うんたらかんたら入ってくるとまったくもって出来る気がしない!!

今の所一番その理想に近いと思った聴いた事あるスピーカーはMeyerSoundのBlueHornシステムだけです。

meyersound.com

指向性を感じるぐらいまでのちょっと低いぐらいの帯域までステレオで疑似3Dサラウンド出来るほど位相コントロールが高次元でできていて、同軸より同軸のように音が点に聴こえる謎技術でした。音の出方が超高次元で揃っていないとそもそも出来ない音です。

日本にも何処のメーカーか忘れて、音は聴いた事はありませんが、これに近いシステムもあるそうなのでいつか聴いてみたい。

海外のいろんなポスプロには結構入っているそうです。めちゃくちゃ羨ましい。映画館で使いたいシステムNo1です。というか君の理想で作ってって言われたら客席数無視でこれ入れますね。絶対。

 

システム側で音が分離しちゃいかんのよ。マジで。