映写雑記

映画館の設備視点

映画館のスクリーンについて考える

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こんにちは、今回は映画館のスクリーンについて考えようと思います。

主にカーブドスクリーンについて触れて行きます。

 

僕はフラット(平面)スクリーンが大好きです。でも私の映画館で一番絵が綺麗とおもっている劇場は極度のカーブドスクリーン、つまり湾曲スクリーンというやつです。

 

湾曲スクリーンとは、スクリーン面が平らではなく、弧を描いているスクリーンです。上からみると『⌒』このカッコ内な感じで曲線になっています。適度な湾曲は良いのですが、極度な湾曲はよくありません。

 

湾曲スクリーンのメリットとは?

35mm時代であれば湾曲スクリーンというのはメリットがあったんです。

ただしデジタル映写がメインの現状ではデメリットが大きいです。

あんまりちゃんと覚えてないのですが、そもそも湾曲スクリーンの最大の理由ってたしか、35mmで使うアナモルフィックレンズの歪曲収差を補うためだったような気がします。視野角がちょっと広くなるとかは結構副産物的な理由です。

 

そして正面からみて明らかにパースが利いちゃってるレベルの湾曲ってやりすぎだと思うんですよ。

 

それはなぜかを説明していきます。まず頭にあった謎の絵ですが、あれ湾曲スクリーンを正面からみた形です。

フレーム的には長方形なのですが、湾曲スクリーンは上下が丸く削れます。それは何故か。

左右の辺と中央の距離が違うからです。当たり前ですが、近い物は大きく、遠い物は小さく見えます。

湾曲スクリーンはその遠近法がきいてしまうので、上のような形になります。

 

つまりどうなるか、下の図の観てください。
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冒頭のスクリーンを正面にみた形に赤い斜線エリアを書きました。

プロジェクターの映像は平面で映そうとするため、赤いエリアの絵が欠損してしまいます。これだけでちゃんとした映像ではありません。

 

そしてさらに下の図を観てください。

 

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PJって書いてあるのがプロジェクターです。

青いラインは投影される映像を表しています。

光である以上、映像も遠くになるほど広がっていきます。

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これは上からみた図です。

フラットスクリーンでは赤い点線部分で映像を決めたいのですが、湾曲スクリーンでは中央部分は左右に対して更に距離が生まれます。そのため、中央の絵は左右に比べて広がろうとしているため、膨らむように歪みます。

 

スクリーンは中央が削れているように見えてるのに、プロジェクターからの絵は中央が膨らもうとするのでなにも良い事がありません。

 

これに映写角度がきつくなってくると、さらに欠損が激しくなり、字幕が切れてしまうぐらい映像が切れます。

下敷きなどを少し丸めて、正面斜め上からのぞいてみてください。下の方が丸く欠損しているのが分かると思います。映像もそのようにさらに削れます。

 

スクリーンを貼るのにも弊害が出る。

これは太鼓張りと言われるスクリーンの方法でおきる問題だとおもうのですが、太鼓張りで湾曲していると下の図のようになります。
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黒線が湾曲しているスクリーンフレームを横から見た図です。

赤線はスクリーンの形を書きました。

湾曲しているため、引っ張ってしわを伸ばすという特性のスクリーンである以上、どうしても中央付近がビール腹のようにふくらんでしまうのです。

3次元に歪み過ぎでは。。。

 

 

まあ、湾曲スクリーンって、見た目はカッコいいですよね。

うん。

 

日々このスクリーン悩ましいですね。フラットの劇場もあるので、そちらはとっても良い子です。

あと、正確にちゃんと測ってないのでなんとなくなのですが、音も湾曲面がパラボラアンテナになってしまい、一定の周波数で悪さするのではとも思っています。あくまで推測。

 

あ、でも適度な湾曲スクリーンは良いと思います。ちょっと絵が観やすいです。

今回は極度な湾曲スクリーンのお話しです。

 

ではまた。