映写雑記

映画館の設備視点

映画「ヤクザと家族」から学ぶ映画の画面サイズ

www.yakuzatokazoku.com

こんにちは、

 

今回は、ヤクザと家族という映画を元に思ってるほど認知されていない映画の画面サイズについて少し解説していこうと思います。

 

まずヤクザと家族ですが、

舘ひろしかっこよすぎですね。こんなダンディなおじさんになりたい、、、

個人的な好みでいえば最近の邦画の中でとっても好きな映画でした。

 

そしてこの映画は特殊な演出がありまして、映画の中で画郭が演出で変化します。

その演出が面白かったので、解説しつつ映画の画郭サイズについて説明していきます。

 

画面アスペクト比

ヤクザと家族の画面アスペクト比は、フラットといって、フィルム時代でいうビスタビジョン画面アスペクト比になります。

 

画面アスペクト比とはなんぞやって思うと思います。

画面アスペクト比とは縦横の長さの比率の事をアスペクト比と言い、

この映像は「横:縦」の比率で作られてますよーっていう仕様の事です。

 

先述したフラットとは1.85:1という横縦の比率になります。

スクリーンの大きさがどんな小さくても、どんな大きくてもこの横と縦の比率で映像が映し出されます。

めちゃくちゃ簡単に具体例をだすと、横が1.85mのスクリーンだったら縦は1mの映像になるよって事です。横が2倍の3.7mになったら縦は2mの映像になります。

 

よくテレビとかで16:9という数字を見ると思うのですが、それと同じ理屈です。

テレビが大きかろうと小さかろうと、テレビ番組はこの画面で映し出されるので、どんな環境でも同じ映像を観る事ができます。

ちなみにテレビの16:9を映画の分化に当てはめると1.78:1となります。

 

この画面アスペクト比は結構いっぱい種類があったりIMAX等は特殊なアスペクト比を使っていたりしますが、映画の代表的なアスペクト比は3つあります。

この3つを覚えておきIMAXとかは特殊だよって覚えておけばほぼほぼ網羅できます。

 

1、フラットサイズ(ビスタサイズ)1.85:1

2、スコープサイズシネスコサイズ)2.39(2.35):1

3、スタンダードサイズ 1.33:1

 

の3つが映画でメジャーに使われている画面アスペクト比になります。

 ただ3のスタンダードサイズは、白黒映画の時代などがメインのアスペクト比で、今は故意的な演出でなければ使われません。

2011年にアーティストという映画がありました。これはデジタル上映だったのですが、フラットサイズの中にスタンダードサイズの画を映すという仕様でした。

 

現行の映画では殆どが、フラットサイズかスコープサイズです。

 

ヤクザと家族の画面アスペクト比

先述したとおり、ヤクザと家族の画面アスペクト比はフラットサイズになります。

これはデータ上のプロジェクターのレンズはフラットサイズのレンズを選んでねという事です。

しかし、ヤクザと家族の画面は最初のうちはフラットの中にスコープサイズを映すという形になっています。

 

え、どいうこと?

 

ってなると思います。

普通のビスタサイズの画面をこちらとします。(アスペクト比はそれっぽいだけで正確ではない)

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この白い部分が本来のフラットサイズのスクリーン画面だとします。

 

ヤクザと家族の前半は次の様に映っています。

 

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赤い部分が黒味の帯となっていて、本来のフラットより上下が狭い画郭になっています。

 

映画を家で良く観る人であれば、なぜか上下に黒い帯が出るタイプの映画があるというのを観た事があると思いますが、それと同じ状態です。

 

ヤクザと家族の映像として使われているアスペクト比を測ってみたらだいたい綺麗にスコープでした。

 

何故この状態になるかというと、スコープはフラットより横長のアスペクトなので、映像全体を映すには、左右の辺で合わせるため自然と上下は画面内になってしまうためです。

 

いろんな映画館に通ってる人だとここで、あれでもこれよく見た事あるぞって思った人。

そう、IMAXやTCXといったラージスクリーンフォーマットと言われる、壁一面の映画館であると、常にスコープサイズの作品はこのように映し出されます。

 

一時よく言われていた縮むㇱネスコ(スコープ)という原因です。

昔からスコープサイズはフラットより大画面!という印象が強いアスペクト比なのですが、最近はラージスクリーンでは逆に小さくなってしまっています。

 

この演出のデメリットになるのですが、ラージスクリーンの映画館でヤクザと家族をみるといつものスコープサイズで観れるのですが、ラージスクリーン以外の映画館だと、フラットサイズの方が基本的に画面が小さくなっているので、めちゃくちゃ画面が小さく見えてしまいます。

制作の人たちがどっちを見据えて作ったのかは分かりませんが、好みがはっきりする演出ですね。

 

そして後半はこのような画郭になります。

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 左右が切れる画郭に変化します。

このアスペクト比はなんなのかちょっと私の方では分からなかったのですが、16:9に近い感じです。もうちょい狭いので、たぶんアナログ地上波時代ぐらいのテレビサイズぐらいだと思います。

 

心情とか情景描写の違いを画郭で表現していると思うとても面白い構成です。

 

映画作品だとよくアスペクト比を故意的に使う演出を行うものがあります。

映画のアスペクトサイズに関しては頭に入れておいて損はないと思います。

 

このブログで紹介した3つのサイズ以外にもかなりの数のアスペクトサイズがあり監督のコダワリで色々使われています。

演出を楽しむ一つの要素として是非覚えて貰えればと思います。

 

ではまた