映写雑記

映画館の設備視点

歴代興収が更新されるたびにやっぱあの映画は異常だと思った事

こんにちは。
久々のブログです。本当は映写ネタもあるんですが、別の事が書きたくなったのでそれを書きます。

先に言うとエビデンスがあるわけではなく現場の状況から読み解くみたいな感じなので本当にそうなのかは保証ないです。あまり真に受けないでね。

 

鬼滅の刃 無限城編第一章」が日本の映画興行収入のTOP10に食い込む

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もの凄いスピードで映画の興収TOP10内に入った無限城編第一章。
皆知っての通りですが、無限列車編は歴代堂々のぶっちぎり一位ですね。
難攻不落ではと勝手に思っていた「千と千尋」から100億弱も離してのぶっちぎりです。公開一か月くらいの2025年8月11日のランキングデータで既に無限城編第一章も6位。

歴代ランキング - CINEMAランキング通信

無限城編第一章が更に上振れて2位に入ったら第三章までTOP4が全部「鬼滅の刃」という事も起きそうですね。
シリーズ物ってシリーズを増すごとに大体7~8掛けくらいの動員数になるという事がほとんどなので、1~3章が全部綺麗にランクインは現実的には難しいかもですがそれでも3章まで全部TOP10は入っちゃいそうですね。

1章がこの勢いが衰えずで、どうせ長期間上映させられるのでこの勢いが緩く落ちていく程度であれば無限列車超えも視野に入ってきますね。
ちょっと色んな界隈で荒れそうw

なんでこんなに興収が爆発的だったのか

正直、僕はこんなに大ヒットすると思っていませんでした。
無限列車の時はコロナ禍だったのもあってちょっと特殊ケースだったというのもありましたし、世間が鬼滅のコンテンツにまだこんな熱量があると思っていなかった...

今回の無限城は鬼滅自体の人気もありますが、それ以上に少し力業だった事も大きいんじゃないかなと思っています。

まさかのほとんどの映画館で全スクリーンで上映というお祭り騒ぎ

いやまあ動員の見込みからの割り当てなので妥当だと思うんですが、他の作品もあるんだから他の配給さんブちぎれてもおかしくないと思うんですよこれ。

どう思ってるんですかね。

鬼滅様のお通りじゃぁっていう感じでだいぶ他作品は公開時期とかいろんな忖度で影響あったと思います。たぶん。

この回数を回すならせめて2時間にしてほしい...という気持ちもありますね。
無限列車の時も似たような感じだったんですけど、あの時は公開延期とかで他に上映できる作品も無くて映画自体が凄い少なかったんですね。だからできた回し方だと思っていたら、まさか今回も同じくらいの回数回すとは...と驚きました。

近年の映画で興収ランキングが更新されると「アイツ」はやっぱ異常ではと思う

タイトル回収ですが、この興収が更新されると無限列車の時もちょっと思っていましたが、やっぱり『千と千尋の神隠し』が異常だなと。あと『タイタニック』もだいぶやばいなと。

何故かというと、この映画達は公開当時は35mmフィルムなんですよ。
千と千尋は一部の映画館ではDLPでのDCP上映があったようです。
まあ10館程度なので誤差かなと。それと当時のDCP環境は今ほど簡単じゃなかったはずと思います(15年ほど前に使っていたDLP機材から考えると)

どうして其れが異常に思うにつながるかという説明をします。

同時に上映できるスクリーン数が限られる

まず第一に一つの映画館で上映できるスクリーン数が限られます。
何故かというと今の映画はDCPなのでデータ上映です。そのため全スクリーン、例えば10スクリーンで上映するにもボタン一つくらいのニュアンスで凄く簡単です。
元のデータが一個あればいいので。HDD一個が送られてきて200GBくらいのデータをTMSにインジェストしたら、後は各スクリーンのSMSにコピーするなりして終わりです。

35mmフィルムはそんなわけにはいかないのです。
10スクリーンしようと思ったら10本の本編フィルムを送ってもらわないといけないのですが、そもそも全国ロードショー映画で一館に10本も送ってたら現像所が蒸発しますたぶんwアニメなんてどうせギリギリまで作ってるんだから
上映後の在庫処理も大変なんじゃないかな、今度、現像所に詳しいというか務めてた人に聞いてみようと思います。

映画館も大変です。1タイトルで10本も来たら保管庫あふれちゃう映画館も多いと思います。ウチは溢れます。
映写室も巻き取りしたリールの保管で溢れちゃう...

あと公開一週間前くらにフィルムって来るのですが、そこから10本も編集とか狂気の沙汰です。編集だけなら5本くらいまでなら対応できると思いますが。

映写機自体は回すことに変わりはないので大丈夫なんですが、保管場所の問題がとても大きいかなと思います。

ただし!一個だけ解決する方法がありまして、ノンリワイドの映写機に備わっているインターロック方式です。これで上映している映画館もあったんじゃないかな。そこはいっぱい上映を回せたかもしれない。

インターロックとは一本のフィルムで複数の映写機で上映する方法です。
インターロックをやった事ある人はみんな口をそろえてもうやりたくないって言ってました。事故率がとても高いらしい。いやまあ仕組み観る限り絶対事故ると思いましたw

僕の映画館は縦巻き全自動映写機でノンリではないためこの方式は使えません。

まあそんなこんなで、同時に上映できるスクリーン数を確保できる映画館は少なかったと思います。少なからず今回の鬼滅みたいなブン回しはできなかったかと。

ちなみに、うちの映画館での公開当時の上映スクリーンは何スクリーンだったの?と聞いたら、1スクリーンだったらしい。

1....

フィルムは物理的な制約がうまれる

次にフィルムは物理的な制約が生れるです。
まあ保管問題もそうなんですが、フィルムは上映しているとどんどん擦れて劣化していきます。映像も汚くなりますしAC3とかのデジタルサウンドだった場合は読み込み不良が起き始めてアナログサウンドに切り替わってしまいます。

そういった事をなるべく抑えて延命するためにフィルムの清掃メンテ等を定期的に行います。これめっちゃ大変で時間取るので同じフィルムが同時にいっきに来るとメンテタイミングが全部被り、想像するだけで胃もたれします。

上映期間が長くなればなるほど劣化が進むほど、気を使うためメンテは大変になります。そしてある程度擦るとフィルムの交換が必要になります。

僕の映画館では千と千尋は9か月上映してフィルムは一度交換してもらったと言ってました。

そういった物理的な劣化が前提となっているメディア形態なので、おいそれと責任を負って何本も借りて上映するというのは厳しいです。

 

他にもこまごまと色んな35mmは弊害はあります。
なので近年のDCP上映でのように興収を爆発的に稼げるようなブン回しは難しい時代だったなと思います。

僕の映画館なんて9か月も回したとはいえ、1スクリーンでしたからね。

2時間5分で予告入れると一日6回上映が良いところです。
当時は映画館で映画を観るという文化がまだ根強かったというのも改めて感じます。

さらにそう考えると『タイタニック』はあのスーパー長尺であの興収はやっぱヤバいですねw

映画のチケット代が今より安い

これはあまり詳しくないですけど、今って普通にチケット買うと2000円~2200円しますよね。イオンとかだと1800円のままでしたっけ?

そうすると割引とか使ってる人もいっぱいいますが、全体的な客単価は増えてると思うんですよね。適当かは分かりませんが、実際にちょっと前にTOP10入りしたくらいの興収と動員数をわったら1400円超えくらいの単価でした。
千と千尋は発表されている数字が本当なら2350万人なので316億を割ると1350円くらいで、やっぱちょっと単価低いんですよね。
これだけの人数が動員されているので50円くらいの差も凄い差になりますよね。
そんな時代にこれだけの数字をたたき出したのはやっぱ凄いと思います。

 

まとめ

まあそんなまとめる事もないんですけどね、35mm上映だった映画が未だランキング上位として君臨しているのは上映回数が今みたいに稼げなかったり時代の違い的にもやっぱ凄いなと改めて思いました。
それに、他の映画も満遍なく結構入っていたので今みたいに1タイトルだけやたら入っているという状況でもなかったですね。僕が映画館に入ったころでさえ土日は全てのスクリーン全ての作品が終日満席近くまで埋まっていたというのは良くありました。
今はというかここ数年そんなの観た事ないな...


記録は更新されるものなので、鬼滅みたいな凄い作品がもっと出てきてまた皆が映画館に通うようになり興収ランキングをどんどん更新していってほしいですね。