映写雑記

映画館の設備視点

映画館の「Xカーブ」について考える

こんにちは、

生きてます。

 

さて、スタジオの人たちと話すと絶対といえるほど話題になるXカーブ。
大きくざっくりな仕様は知っているけど、しっかり把握している人って業界でも少ない基準でもあります。僕も「なんかしらんがLowとHiをオクターブ-3dBでロールオフしていく決まり」という感じのざっくりした感じでしか知りませんでした。

そして音について色々と勉強していくにつれて疑問に思ったのです。
「高域の方が距離減衰が強いのにロールオフさせたらダメじゃない?」というのと、
人間の聴覚の聴こえ方を定量化した等ラウドネス曲線というものがありますが、その理屈とも合わないこのXカーブ。そもそもスウィートスポットより後方はさらにロールオフするし、前方はハイ強めになります。

うーんって思っていたら、よく音について先生をしてくれる(実際に大学とかで講義してる)T木さんから「君のその悩みを解消する良いものがあるぞ」と有難い論文?映画音響史?を見せてもらえたので、その論文を元にXカーブってどうなんって考えてみたいと思います。

参考にするのはドルビー社の映画音響で凄い人でもあるレコーディングエンジニアのヨアン・アレンさんが書いてたXカーブの歴史と原点みたいな2006年のちょいと古いやつ。

 

けど僕英語苦手だから翻訳と解釈を盛大に間違えている可能性が否定できないのはご愛敬で!!!!

 

そもそもX-カーブって?

映画館で音響システムを構築するさいに、最後にBチェーンという劇場の音響特性を電気的に調整する作業があります。

音楽とか音について何かしらやったことある人は見た事あると思いますが、リアルタイムアナライザーという20Hz~20kHzの周波数の強弱をを見る事ができる測定器があります。それを観ながら、EQを使って映画館の周波数特性を作っていきます。

その時にこいう周波数特性で作ってねっていう周波数カーブが「X-カーブ」です。

スタジオと劇場の再生環境を統一していきましょっていう基準です。
ワイドレンジカーブ、アカデミーカーブともいわれたりします。ショートレンジの方をNカーブともいうらしい。

X-カーブの始まり

X-カーブの始まりはどうも1937年まで遡るらしい。
そんな昔から考えられてたなんて、頭のいい人たちはすごいなぁと思う。
磁気トラックのAチェーンがノイズの関係でLowとHiのロールオフをしていた事と、当時の一般的な劇場用スピーカーであった2wayのアルテックやフォースターのスピーカーでの再生環境にスタジオを合わせようって事がどうも始まりらしい。

ここで一つ僕は新しい発見だったのだけど、僕は今までスタジオの音を再現するために「スタジオに劇場を合わせている」という認識だったのだけど、元は「スタジオを劇場に合わせる」が目的だったようだ。

ああなるほど、そうするとちょっと納得できるなと思う事もちらほら。

当時の劇場測定資料を見ると、アルテックのスピーカーが超極端なX-カーブのような特性を持っている事が見える。
※みんなにも見せたいんだけど切り貼り引用がいいのかわからないからごめんよ。

ファーフィールドの劇場なのでしっかり高域が負けて減衰しているという感じで、Midあたりにあるディップはクロスオーバーとおもう。
そしてフェノール含侵樹脂ダイアフラムのドライバーと金属系のダイアフラムのドライバーの両方の特性を測定している。

2k~8kで18dBも急激な減衰をしている。Lowは割とフラットな感じだが、この時代のマイクロフォンの低域に信用性が少し疑問なのでちょっと割愛。

そしてそのファーフィールドの環境特性を割とフラットなニアフィールドのスタジオもそうするかーみたいな事っぽい。

 

時代ごとに代わっていくX-カーブとカーブ本来の狙い

ただしこれは機材が時代と共によくなりアップデートされていくとそもそも破綻してくる、そこで改めてどんどん見直しが入る。最初は上は8kHzが上限だった物が測定技術の向上とイコライザー搭載されたシステムが出てきたり、フィルムの光学トラックのノイズリダクションの向上で最終的には16kHzまで上限が伸び、この上限が伸びるたびにカーブが緩やかになっていく。

そしてこのカーブが本来目指すところは、劇場の音をフラット特性にするためが狙いだったようだ。

なんでフラット特性にするのにロールオフさせなければいけないんだっていう話だけど、そこはピンクノイズでの測定がかかわってくる。

残響が大きくなるファーフィールドの劇場をピンクノイズでフラット特性にするには、初期到達音の信号が残響のせいでHi上がりになっちゃうから信号の段階で電気的にロールオフさせておいて、初期到達音の信号は、劇場の残響が加わってルームゲインが狙ったところにきたらフラットになるからって考え方のようだ。

いやそれどうなんっていう話なんだけど。
ただ言いたい事はわかった。確かに理屈は通ってる。いやでもそれどうなん

それと、劇場の大きさで本来小劇場~大劇場でカーブの種類を使い分けなければいけないという問題もあるが、現状日本でそれをしているスクリーンはあるのだろうか。
といっても500席くらいまでが小規模扱いされている感じあるからあまり必要なさそうではあるけども。。。

余談

余談だけど、ヨアンさんの知り合いが劇場の試写でみたら、スタジオで作った時の音よりセリフがきこえないっ劇伴やSEがうるさ過ぎるて突っ込まれたヨアンさんの時の話が面白かった。おそらくこれ邦画でよく起きている現象でもある。

ピンクノイズでカーブを設定するにあたってやはり箱の残響によって直接音と間接音、初期到達音から2次~の音によってLRのバランスとCchの量感というか音がニアとファーで変わるのは容易に想像できるが、まさにそのせいで、ニアでフラットな音と距離感のスタジオとファーの劇場ではそもそもこの測定方法では帳尻が合わないと個人的に思う。ヨアンさんもたぶんこれ測定と調整方法が正解じゃないんだよねぽい事書いてた。

ただ現在ではあまりそれが起きないように色々調整してるって書いてあるから日本ちょっとやっぱ遅れてるのではとも思った。なお70年代くらいの話。

X-カーブの存在意味

確かに、昔のスピーカーシステムや音源であれば、あった方が良かったと思う。
そしてダビングスタジオもXカーブを入れているが(MA等のダビング以外では使用されない。前述のとおり基本的にファーフィールド用のため)、正直日本の大きさのスタジオでならフラット特性を目的とするならば必要ないのではないかと思う。

劇場もそうだ。

吸音などの建築音響の方が進歩しているので一概に残響あるからで決められてしまったカーブを鵜呑みするのはどうなのかと思う。
それに、最近のスピーカーはラインアレイ等が普及してビームコントロールがとても向上しているので、正解にたどり着けないということになる。

なんなら、この時代とともに魔改造されてきた基準は色々なテストはしているが、フラット特性っぽいっていう数値化されたエビデンスってあんま無さそうで、聴感上で聴いて主観で決められてきたっぽい基準でもある。

そこにきて、今、音の測定技術のスタンダードであるデュアルチャンネルFFTでコヒーレントや位相を観ながらインパルスもみてというソフトも充実してきている。
だからもうそのソフトたちに倣ってスタジオも劇場もフラットにして後の差異は適当に合わせりゃいいのではとも思う。

ヨアンさんも、いやなんか主観多すぎて合ってる気がしないんだけど、なんかみんな問題定義しないで今まで使われてきてるから多分合ってるんよみたいなこと言ってた気がする。

 

そういえば、フラットになるように考えるためのカーブである以上、劇場はXカーブあるんだからハイの抜けがよくなるようにハイあげとこなんていう音作りしちゃだめですよ。

 

と、何となくで解釈して自分の考えも並べてみたけど、この僕の英語理解力で内容の解釈が合ってる気が全くしない。頓珍漢な事言ってる可能性があるのでそしたらごめんなさい!!!

ではまた。