映写雑記

映画館の設備視点

映画館とスタジオ環境の関係を考える

こんにちは。

 

作品のレビューとかも書きたいなと思っているのですが、書きたい作品の全国のファーストラン上映が終わったら書こうと思っています。

今日は、映画館とスタジオ環境についてだらだらととくに纏まらないネタの考えです。

特に音をメインで書いていきます。

 

映画館でスタジオそのままを再生するという事

たまに論争が起きる内容ですね。制作側の人達は自分たちの作った音をそのまま提供してくれと思っている人がほとんどではないでしょうか。当たり前です。自分の子を勝手に染められたくありません。

しかしそれは可能なのでしょうか。

全く同じ建築、全く同じ音響設備、全く同じ音源だったら可能でしょう。

まずそれをするなら作業用のコンソールを全て撤去して劇場の椅子で部屋を埋めるところからしないと同じ環境になりません。

スタジオのミキサー等の機材はとても大きいのでかなりの反射面になります。なのでほとんどのスタジオではスィートスポットと言われる一番音が良く聴こえるポジションの前にミキサーがありますが、少なからず手前で大きく反射している音を聴いているわけです。あとコンソール類が邪魔して届かない音もあります。

実際、いろんなスタジオを回って音を聴かせてもらいましたが、かなりの影響を感じました。

 

映画館ごとに音が全く違う

映画館の設備もそのスクリーンによって全然違います。

Bチェーンで測定の見た目上は似たような音を目指していきますが、同じf特をもった測定結果の劇場でもスピーカーが変われば音色も聴こえる音も変わります。

ポイントソーススピーカーなのかラインアレイスピーカーなのかでも変わります。

ユニットのクロスオーバー位置でもネットワークがデジタルなのかアナログかの差でも変わります。

壁の表面や壁の裏側の建築の仕様でも音が変わります。

それらがその劇場の味となり映画館を楽しむ文化の一つでもありますが、神経質に考えるのであればこれでは作られた音を流せは無理です。

 

スタジオも音が全く違う

そもそも、スタジオ事にも音が全く違います。あそことあそこのスタジオ同じ音がするなって思った試しが一度もありません。「似てる」はありますが、同じ音だなって思った事が一度もありません。

なので制作されたスタジオ事になんかそのスタジオっぽい音が入った作品が来るな~って思います。たぶんかなり分かりやすい作品であればどこのスタジオで作られたかって音を聴いて当てられるような気がしているぐらいです。

つまり、Tさんで作られた音で合わせた劇場でSさんで作られた作品を掛けたらSさんの作品はなんか違うってなりますし、逆もしかりです。

これは海外でも一緒です。狐さんや空歩さんとか兄弟さんとかも結構スタッフの違いとは別の違いを感じます。

 

こんなことが先日ありました。

とあるスタジオで作られた作品の音を作った人がスタジオだといい感じだった演出が、いろんな映画館で実際観るとなんか過剰になって全然違う演出になってしまっていたと言っていて、その作品は僕の所でも掛かっていたのですが、やはり同じちょっと違う感じだったのですが、あのスタジオで作られたと知っていたので、まあその演出しようとするとそうなるわなって凄く納得しました。

僕が良く知っているIさんの作品もAなのかかTeのスタジオで作られたかでも結構違いを感じます。

 

以前少し話題になっていた、映画館の音量問題ですが、出てくる音が違うと音量も変わるんです。作った人達が真剣にシビアに作れば作るほど、こちらで流すときにその最高のポイントとずれ易いために上映が難しくなるというジレンマがあります(僕はそこが楽しいのでもっと突き詰めて作ってもらって良いと思っています)。

同じピンクノイズ85dB基準でもシビアに作るほど、難しいです。

 

じゃあどうすれば良いの

じゃあどうしよかって話なんですが、「正直わからん」です。

昔は、劇場側で作品ごとにそもそも弄ってしまって上映しやすい形に変えてしまえばいいのではという考えの時もありました、しかしそれは作られたモノを改変してしまう形になります。なので良くないと思いやめました。

最近、僕がやっているのは、いろんな方々の協力のうえでスタジオ側の音を知る機会を頂いたので、上映した時に作品ではなく劇場とスタジオのマッチングを聴感上で合わせるという形を取っています。

幸か不幸か、耳はそこそこ良いらしいので、なんとなく差分が分かります。

しかし完全に合わせる事は出来ないので箱とシステムと作品が喧嘩しない感じを狙うというのでしょうか。ニュアンスの問題なので言語化ができませんが、ルムアコを視て行くという感じです。

電気的にどうしようもない場合はアプローチの方法で嘘をつくという事もします。

あと、作品で合わせるワケではなくその箱で掛かる複数の作品も観ないといけないので、結構悩みどころです。あっちを立てればこっちが立たずという状況が良くあります。あまりに逸脱した場合は専用にこさえます。

 

その精度を上げて行くために最近は自分でシステムの特性を測定したり箱の特性を測定したりとなんか映写じゃないような事を良くやっています。まあ本当のプロにはかないませんが。その本当のプロたちに教えて貰えているので遠く外れてもいないと思います。

音響関係のベテランの人はみんな口をそろえて言いますが、測定では見えない部分がまだありすぎるので測定値を元に聴感上で最終的にはやる事になると言います。

実際その通りで、測定値上は本当にほとんど一緒なのですが、一緒になりません。映写もいろんな知識を持っていろいろ試してみないとだめやろなぁという感じです。

 

全く纏まりませんが、音響って楽しいなぁ禿げるなぁって思いました。