映写雑記

映画館の設備視点

映画の音について思っている事をうだうだ書く

特に落ちとかまとめたりとかは無いのですが、思っている事をうだうだ書きます。僕が思っている事だから正しいかどうかはわからない。

凄く間違っている事を言っているかもしれない。

良く思うセリフについて

映画の音で一番大事なのは何なのかという話になった時に、映画は物語を分かってもらうとか伝えるという性質上、セリフ、というか声が大事だと思う。これはいろんな製作側の人間とも話してて大体みんなそう言っているし合っていると思う。

芸術的な表現をしている作品でセリフがほとんどないけどストーリーが伝わるみたいな作品もいっぱいあるけども基本は人の声だと思う。
人の声にも、普通の声、ささやき声、叫び声、歌声、発声されない声といっぱいある。無言も声の音だとおもう。


個人的に映画の音の良い悪いを推し量る一つの基準が声だ。

映写初めて16年くらい経つけど2千本くらいは映画を観てきたと思う。映画通からすれば少ない本数だけど、同じ映画も何度も観たりもする職なので許してほしい。

良い音が入っている映画と、何だこのポンコツな音はと思う映画を比べて比較考察研究した時に真っ先に声の違いが判る。

というか他の音が良くても声がダメだったらマイナスだと思っているほどに声が大事という「声の音」至上主義と自分で思っている程度には声がいつも気になる。

 

映画の良い音の声とはどんなもんかという具体的にあげると

・声の大小に限らず通りが良い。

・高音が突き刺さるなどの不快さがない(叫び声等そもそも不快な声を除く)

・肉声感を感じられる(重心がある)

・上下フィルターで切っていたりディエッサーとかダイナミックEQだったりのコンプの類とかがかかったような狭い機械処理的なレンジを感じない

が個人的に思う良い声の具体的な評価ポイント。

 

声の通りが良い

声の通りが良いというのは、そのままの意味で良く聞こえるという事。
でもまあ、役者さんがそもそも通りが悪いそんな声って場合もある。
ただ登場人物全員そんな声であることは絶対無い。特にアフレコ/プレスコで声優をつかうアニメでそれはない。

声の通りが良いというのに、不快さがないと、重心があるというのに関連してくるが、midから下がちゃんと適正に入っている事が重要だと思う(低域というか重心という言い方の方が正しいかもしれない。低域の周波数帯ではないかもしれない)。
人間の声そんな高くないし芯の部分が消えているって思う事がポンコツ音の作品だと良く思う。

しかし通る声という話で、下の方が無い方が高音が走る感じになって良く聞こえるのではと思われがち。

これたぶんPAとかの経験があるかないかでだいぶ変わると思うんだけど、トークショーとかでハウリングやバフバフいうからってんで脳死で下の方ガッツリ切っちゃうと全然声が通らなくなるという経験があると話が早い、ただ僕はPA屋さんじゃないのであまり偉そうに言えないので以前たまたまやったトークPAごっこの経験から。

理屈としては単純に高域の減衰は低域よりとても早いからかなと思う。
ファーフィールドくらいの距離になる映画館なんかでHiだけの音になった場合、ラウドネス曲線で耳に付く痛い周波数だけ目立つし、減衰も早くて抜けがとても悪く感じる。
それに他の作品の音や、残響や反射といった他の音も一緒にでていてマスキングされやすい環境下でそんな高域だけなんか通るわけがない。重心、つまりは芯がない声は簡単にかき消されてしまう。街中で声が聞こえるかどうかみたいなニュアンスかなと思う。

オペラ歌手とかの高い声が通るのってホールの環境のおかげもあると思うけど、高い声の裏にちゃんと重心がいるからだと思う。

音量上げなくても音がちゃんと聞こえる音源と音量上げなきゃなんか気持ちよく聞こえない音源の違いみたいに思ってもそんなに外れた表現ではないと思う。

かといってぼわぼわの音も逆にマスキングされて通らないのでダメなのでたぶんこれとても難しい問題。

まああとあれよね、アフレコなのかそうじゃないのかでもだいぶ変わるとは思う。

 

不快さがない

不快さがないっていうのは、痛くないってことが大きく占めるかもしれない。
ダメな奴は本当にただただ痛い。リファレンスレベルで再生しようものなら耳が痛くて不快でこれで1時間以上耐えないといけないのかと絶望する。
前に、痛いので音量あげれねえんだがと言ったら、そいう音の作品だから上げろよとバトルになった事もある。苦情をもらうのは映画館であって、お客さんはただの被害者になって2000円も払って耳がつかれて帰るだけになってしまう。
配給通じて製作にクレームじゃあ!といったところで修正版を作ってもらえることなどほぼない(一度だけあった)
この痛い音というのは結構厄介で、年齢によって聞こえなくなってくるのと、プロアマ問わず普段聞いてる音量によっては何も感じなくなる音である事が多い。良くあるのは12kHzあたりすんごいスンスン言ってるのに多分耳に難聴とか加齢というシェルビングかかってて聞こえてない。2.5kHzあたりも凄く痛すぎてすごく下げたと思う事が多い、でもニアではきっと痛くない音だと思う。でもニアとニアのモニターの音と環境とは別世界の映画館なので、スタジオで丁度いいはだいたい丁度良くないってなってる気がする。

映画館でも狭い箱の方が音が良く感じるのは作られた環境の大きさに近くなっている事も要因の一つじゃないかなと思う。

ただ本当に音が良い映画は箱の大きさに関係なく音が良いのは変わらないので、それもどうなんだろうと思う。

 

余談だけど、スピーカーのフェイズ特性がばっちり合っているスピーカーはHiが弱く感じるという事があるしよく言われる。なぜかというとLowとHiが近しい速度で鳴るので、マスキングみたいな効果がでる(のか?適当言ってるかもしれない)。Meyerさんが良くHiが弱いと情弱に言われているがそうじゃない、フェイズ特性がズレまくってLowが遅れまくってしまってHiだけ先に届いているようなポンコツスピーカーしかしらんからそいう事になる。Meyerに限らずちゃんとしたスピーカーならよくある話。Hiが弱いわけではないので、そこは音源を作る側でしっかり音を作ってねという事。システムのせいじゃない。

ただシステムが悪い場合もある。
ドルビープロセッサーの悪しき機能だと思っているんだけど、Bチェーン用のEQがグライコなんだよね。
あんな1/3octでのグライコでバンバン上げたり下げたりしているチューニングしてしまったら、シャカシャカの底抜けしたような薄っぺらい抜けの悪い音になってしまう。
映画館の音がシャカシャカキンキンしている音が多い理由はスピーカーの問題も大きいけどこの辺りの理由も大きいと思っている。現行のJBLもうちょっと深みのある音でるよ、、、?

 

 

肉声感を感じるってのとフィルター云々は次回にでも気が向いたら続きます。