映写雑記

映画館の設備視点

正しい「音」と正しい「体験」

こんにちは。
今回は以前からちょいちょい思っている僕の考えをただ書いていきます。
あくまで考えている事で、この考えが絶対正しいってわけではないです。

 

「映画館として正しい音」とは

映画館として正しい音ってなんだろなっていつも考えています。
スタジオで作られた音を忠実に再生するのが正しいんじゃないの?
と思う人がほとんどではないでしょうか。

確かにそれも一つの答えですが、それは作った側だけの視点ではなかろうかと思います。
そりゃあ作った神様なのだから絶対ではあるとは思いますが、スタジオの音と設備の音はそもそも属性もジャンルも変わります。

それに、映画館音響のXカーブなどの音に対する基準というのは、1930年代の最初期まで元をたどれば映画館の「音」をスタジオでも再現して映画館で遜色なく再生できる音が作れるようにという考えが発端なので、「スタジオ側の音を再生できるようにする基準」ではなく「映画館で再生する事が基準」なので逆なんです。

なので最近の個人的な考えは
「作られた音をスタジオそのまま」
ではなくて
「この劇場のシステムで掛けた場合の作品の音」
というのを重視しています。
どいう事?って思うかと思うので解説します。

「この劇場のシステムで掛けた場合の作品の音」とは

まずすこし極端に平たく説明します。
たとえば、スタジオはなるべくピュアな音を汲み取らないといけないので結構デッドに作る場合が多いです。
しかし、映画館は空間が広いので少しライブな環境になります。
昔はデッドにする事大事と思われていたので、デッドに仕上がっている劇場も多いですが、空間分はやっぱちょっとライブになります。

そして僕のいる劇場は特にライブな環境です。吸音材ほとんど使ってないしコンクリの床なので響きます。

なのでたまに製作者の方が来た時には、音を聞いてこの響いている音を作った時に近づけようと少しデッド気味の音の方向へと要望を言われる事が多いです。
電気的な調整になるので、大概は直接音がどんどん痩せていく方向にもっていくことになります。
で、響き的にはデッドの時のようななるべく響く帯域を削った音になるわけですが、これはシステムの音としては正しくないと思っています。(ルームアコースティックを調整するという意味ではなく、音としての調整をしている場合の話)
空間に対する響きまで一緒に加味されたのがシステムの音と解釈しています。
その結果、直接音自体がスタジオで作った時の音とは違うなんか良さが分からない音になります。
そしてスタジオのスピーカーの音に近づけようとした結果、電気的な補正が強くなるにつれてスピーカーの特性というのは悪い方向にどんどん狂っていくモノなので、僕の劇場の良い音が消失するわけです。二つの意味でいい事がありません。

結局どうするのが良いのだろうか。

と考えると、しっかり適切なチューニングがされた劇場ならばの話ですが

「スタジオで作った音をこのシステムで鳴らすとこう鳴っているのが正しい」

という状態を受け入れるのが大事な事だと考えています。
しかし、これを分かってもらうのはかなり難しいです。
何故かというとスピーカーから鳴る音の仕組みと空間で響く音の仕組みをある程度分かってないといけません。単純に響いてる響いてないの違いだけではないです。音の到達の仕方とかも全て含めての響きです。

この「響き」と「作品の音」が一番ナチュラルに共存するという所を考えるようにしています。
そしてそれらが最適に共存できた状態を「映画館として正しい音」として位置付けています。

正しい「音」・正しい「体験」

製作者がスタジオで作った音をそのまま再生出来たものは「正しい音」だと思います。
それはそう。
作品である以上、製作者へのリスペクトは絶対です。
しかし、映画館としては一番に考えたいのはお客様です。

お客様の時間を頂いて、チケット代を頂いて、映画という作品を観ていただくわけです。
そこまでコストを支払っているお客さんの大多数は「正しい音」かどうかより「正しい体験」かどうかの方が優先順位が高くなるわけです。

極端な話、完璧に作品の正しい音が上映できる劇場があったとして、アクション映画で派手な映像なのに耳を澄ませてようやく聞こえる音ぐらい小さい音の作品があったとしましょう。

そう作られたのだから「正しい音」です。

お客さん満足しますか?よほど奇特な人でない限り満足しないと思いますし、なんなら最悪な2時間だったなと感じると思います。
そして、よほど映画に精通した人でなければ「この作品はこいう音」とはならず「この映画館は音めっちゃちいせえんだけど!!!」と映画館にヘイトが向きます。
映画館としては最悪です。でもお付き合いの兼ね合いがあるので、製作者にお前の作品音が悪すぎてやばいんだけど!!みたいな事も言えなければ売り上げにもろに直結します。
※補足ですが、わかりやすいかと思って書いたので映画の音が悪いのが悪いという事を言いたいわけではありません。


映画館としては「正しい音」を馬鹿正直に追い求めるだけではなく「正しい体験」をしてもらうための映画館側の采配も必要になるという事です。

直接お客様と勝負する現場でもある映画館としては、お客様には正しい「体験」をしてもらってその鑑賞体験を持ち帰ってもらう事が一番大事と考えます。
そして「体験」に関しては、長年直接お客様に多種多様な映画を贈り続けてきた映画館の方が圧倒的に造詣が深いです。ここだけは絶対的な自信があります。

ということは、映画館としての立場では「正しい音」を理解した上で「正しい体験」をお客様に届ける事が目標であり目的かなと。

それにその「体験」を各映画館が求めていくからこそ色々な劇場の「色」が生れると思うので、色々な映画館で観る楽しみが生れて、サブスクが強くなってきているこの時代に、新たに映画鑑賞の文化がさらに広まると思っています。
「体験」は正解というモノがないと思っているので、お客さんは好みの体験ができる映画館に行くという選択が広がるわけです。

この体験は音だけに限らず、映像や映画館の雰囲気とかも含みますね。

余談ですが「映画を作った」で終わらず「映画を届けた」までが映画製作ではなかろうかと個人的には哲学みたいに考えています。つまるところ映画館も製作側なのではと。まあこれはあくまで個人的な考えで人に強いるつもりはありませんし、あまり賛同されないと思っています。

 

とまあざっくりアウトフレームだけの乱文になってしまいましたが、なんかそんな事を最近考えている時間が多いです。

もっと知識とかあればちゃんとテキスト化できるんだろうけども、まあしょうがねえ本能で生きてるんだIQなんて3しかないよ。チルノだよ。

 

映画館のドット抜け

今回は映画館のドット抜けという話をしてみようと思います。

ドット抜けとは

ドット抜けとは何ぞやって話ですが、液晶テレビとかで画素が一粒変な色になっていたり黒くなっていたりするやつ見た事ありませんか。

要はあれです。
映画館で使われているプロジェクターはDLPというプロジェクターが多いです。
以前、SXRDの記事を書いたことがありますが、あれはLCOSという液晶チップのプロジェクターですが、DLPはDMDというチップを使ったプロジェクターの事を言います。

このDMDってすーぱーちっちゃい鏡がいっぱいついていて、その一個の鏡が1画素になります。RGBレーザープロジェクターとかだど、RGBの各色の光源一つに1つのDMDが使われている物があるので、4Kなら4Kの画素数x3の画素数分のちっちゃい鏡がある事になりますね。4Kだったら有効画素数だけでも2654万2080個の鏡?

DMDとDLPの構造に関してはHolyさんのこのブログが分かりやすいので是非どうぞ
DLPプロジェクタの基本的な仕組み | 音響・映像・電気設備が好き

 

そしてこの鏡を一個一個動かして光の反射のオンオフを作り出して色を投影します。
実はなんかすげえアナログな事をやっています。そんな数ある鏡が一個動かなくなるだけでドット抜けが発生します。

敏い人であれば、え、アナログなら...と思った人もいると思いますが、そう、DLPのDMDのドット抜けって気分で出たりでなかったり、治ったり発症したりします。
電源入り直したらなんか治ったなんてザラです。昔の動きの悪くなったリレー叩いて直すみたいな感じ。まあ叩けないから再起動しかないんですが。

僕も実際経験してますが、試写テスト中に急にドット抜けがおきて、途中でみてたらドット抜け消えたなんてこともあります。

ドット抜けが起きた場合に映画館はどうするか

再起動等で治らない完全なドット抜けが発生した場合どうするかという、多分皆さんが興味ある事の一つだと思います。

DMDの問題ならDMD変えるんでしょって思ったあなた。
そういったメーカーもあるようですが、大体アッシーで光学エンジンユニットまるっと交換です。それがこれ。これはRGBレーザーのDMDがついているユニット丸ごとアッシーの写真です。

交換自体はユニット化されているので割とすんなりできるのですが、その後の色や画郭のセッティング等かなり大変です。

しかしもっと大変なのは金額です。

ミニシアターであれば普通にミニシアター潰れるかもしれないと思われる金額がかかります。
大手シネコンチェーンでもドット抜けの発生した1スクリーンは向こう数か月は赤字ですね。最大スクリーンで発生したら大体お客さん入るのが最大スクリーンなので映画館全体が赤字でも不思議ではありません。
よくお客さんの入り=映画館の儲けみたいに言ってる人いますけど、あれ殆ど配給に戻すので映画館の手残りなんて大したもんじゃないですよ。

色々な都合上金額は明記できませんが、そこそこな新車が普通に買える値段です。

なので皆さんが思っているほど簡単ではないのですが、ただ商売としては放置できないという割と最悪なトラブルの部類になります。映画館潰れたらドット抜けのせいって思ってください。嘘です。でもそのレベルです。

なので結構保険等のサービスが手厚いのですが、そのサービス受けるためにかなりの高額な資金が必要なため受けられてない所も多いと思います。いやマジで普通の映画館はおいそれと入れん額です。

ちなみに、RGBレーザープロジェクターの場合は緑、赤、青のドット抜けがほとんどで黒と白は理屈上考えにくいです。だって黒と白は3つとも同じ位置の画素がNGにならないとおきないので...白だった場合は裏のフレームのボルト等の反射の可能性が高いです。カラーホイール等の別の方式の場合は色々考えられるかと思います。

ドット抜け被害者の会

ドット抜けの被害者としてまずお客様ですね。
そして映画館です。これに関しては映画館の怠慢でもなんでもなく機械上の仕様です。

そしてインストーラー業者様です。足を運んで作業をしないといけません。
ではプロジェクターメーカーが悪いのかというと、メーカーも実は悪くありません。
このDMDというデバイスに関してはアメリカのTI社が特許で独占しているためDMDは全てTI社の製品です。なのでドット抜けの匙加減はTI社が安定したDMDをどれだけ作ってくれているかにかかります。

そして現在僕の使っているプロジェクターにはこのTI社の0.98インチのDMDが使われていますが、こいつが最大のウィークポイントになっています。
コントラストが稼げるとかなんとかという名目でDMDの稼働軸が一個増えている画期的なDMDなのですが、この一個増やした可動域がフリーズするんです。
なので多種のDMDと比べて色は良いけどドット抜けがめっちゃ起きるっていう何その諸刃の剣。

笑っちゃう話なんですが、ドット抜けが起きたから交換してーっていって交換したユニットもセッティングの途中でドット抜けが起きたって事がありましたし、1か月でドット抜けが出たみたいな事はわりとよくあったりで割とキレてます。

どうすりゃいいんだまったく。

 

本当に辛い。

2025年の映画の音とか映像を振り返る(下半期)

前回に続いて去年の映画を振り返ります。
下半期です。

 

『ランデヴー(1976)』

eiga.com

去年上映した映画リスト見ていたら、入っていたので思わず入れてしまいました。
僕がどちゃくそ好きなやつです。僕は去年観ていませんが過去に上映した事があります。その時は『男と女』の先付短編として上映しました。
1976年の公開当時色々問題になったそうです。
まあ内容はそりゃそうよって思う内容で、パリの市街をただオンボード視点で爆走するだけです(たしか無許可?)。恋人?の待ち合わせ場所まで車が走るだけ。
フェラーリとなっていますが、実際は監督のベンツだったとかそんな話だった気がします。最高です。
車好きは必見です。
僕の所で上映した時はエンジンサウンドに命を懸けすぎて本編の『男と女』の前に耳が大変な事にしてしまった失敗もあります。タノシカッタナ!!

ヒックとドラゴン

hic-dragon-movie.jp

2010年に3Dアニメーション映画として上映した物を当時の監督本人がセルフ実写化した物になります。内容はほぼまんまその通りです。
ただ、アニメ作品の実写化ってこれが最適解なのではと思うくらい監督本人自ら担当したのもあり安心して観られました。

アニメの方も素晴らしい映像と音でしたし、だいぶ3D上映がメジャーになって初期ころの3D作品だったにも関わらず3D効果も素晴らしい使い方だったと記憶している作品でした。
なのでとても期待して待ってたら、やっぱすごいクオリティでやってきましたね。
アニメーションにしかできない表現があるのと同じように実写にしかできない表現を織り交ぜて作られてるなと感じました。その差分を考えながら観るという楽しみも。

空中の覇者になった気分になれるサウンドと映像のデザインでした。

プレデター バッドランド』

eiga.com

プレデターシリーズですね。予告観たときにはゲームのデスストを思い浮かべました。今までにないイケメンプレデターでした。
映像はちょっとゲームライクな作り方している気がすると思っていて、演出とか流れもなんかゲームを進めている感じで面白かったです。映像もかっこいいと思いましたが、音がとにかく凄い。
とんでもねぇ解像度を感じる音でめちゃんこ綺麗な音でありながら、ハッタリ効かせる時には笑っちゃうくらいのLFEでした。IQ3になります。好き。
スカイウォーカーランチでクリード見せてもらった時に、ウチで上映した時そんなにLFE出てなかったよ!?つまりワールドワイドだとSWのパワー足らない!?っていう衝撃があったので海外的にはきっとこれは正しく、なんならまだ足らないくらいなんだと思います(※バッドランドはスカイウォーカーサウンドではないと思います)。

『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』

luoxiaohei-movie.com

ロシャオの1も中国アニメの凄さに震えましたが、今回は更にパワーアップしてきました。音に関してを1の字幕版と比較すると、音が丁寧になったと思います。1の元気な荒さが前面に来ている音も良かったですが、映像のマットな作画に合わせて、音もマットに暖かくなったかな?という印象です。
映像もスコープサイズでとてもダイナミックでアーティスティックな構図が多く見どころ満載です。最近の映画館ではフラットサイズの方が大きく観える映画館が多いですが、横長のスコープサイズの方が個人的には大画面を感じて映画ぽさを感じて好きです。

吹き替えの日本語担当は1に引き続き岩浪さんだったので、吹き替え中心で岩浪さんと劇場での音響調整しましたが、吹き替えのセリフ音声の質感も1の時からだいぶグレードアップした感じで調整もやりやすかったです。1の時はちょっと花澤さんと松岡さんの声が難しかったんですよね。今回は花澤さんはもちろん他の声優さんたちの声も良いので声に整音のリソースをあまり割かなくて済んだためにかなり全体的に綺麗に仕上げる事が出来たなと思っています。
こちらも岩浪さんとの作業で色々と勉強させていただきました。岩浪さんは劇場の音を大切にしてくれる方で、思った通りにやらせてくれるのでのびのび作業できました。

『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)ネクストシャイン!』

www.watanare-anime.com

映画として括っていいのか若干迷いましたが、音が面白かったので印象に強く残っています。
元はステレオ2chをアップミックスしているそうですが、ASMRシーンではPrologicで崩したり構築したり(山口さん本人談)で位相を上手くコントロールしてステレオ音源が凄いASMR音源かのようになっていました。サラウンドが綺麗に成立するスクリーンでの効力が凄かったです。
BLAME!の時から思っていましたが山口さんはこの辺りの音の使い方が凄い方だなと思っています。ReCREATORS一挙上映やりたい(´・ω・`)

あと地上波だとOPとEDが本編よりレベルが小さくなってしまうラウドネスの関係する問題がある作品が多い中、OPとEDがしっかりしてて良いなと家で地上波観ていた時も思っていましたが、劇場で流す時もお陰でメリハリ出て助かりました。ラウドネスのルールにあまり左右されないはずの劇場版の長編アニメーションでもOPやテーマ曲がやたら小さく聞こえる作品も多いので、こういった風に適宜ちゃんと音が入っているとアニメ映画はやりやすいですね。

『MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE FJORD ON SCREEN』

mga10years-film.jp

Mrs.GREEN APPLEのライブフィルムです。
お客さんの入りは芳しくなかったのですが、映像も音もすげーハイクオリティでした。
邦アーティストのライブフィルムって良い物が少ないのですが、これはとても素晴らしい映像と音で、これ観に来ないのもったいないなと思ってました。
音で感動したのは、映画館という劇場での音とライブ会場の音との差を理解しているうえで映画館でのライブ会場のサウンドの構築されていると感じました。
作った方は映画の音にも精通しているのではないでしょうか。
多分、録音からも全部同じスタッフたちが携わっているんじゃないかな。
でないとあのクオリティは出せないと思いますが、どうなんでしょう。
映像も4Kの美麗な映像で、下手したらリアルで観てるより綺麗なのではと思う感じでした。
ライブフィルムはこのクオリティでみんな作ってくれると嬉しいなぁ。

 

ズートピア2』

eiga.com

めちゃくた楽しみにしていたズートピアの続編です。

動物の習性やしぐさの動きを二足歩行にしたうえで上手く取り入れたモーションや表情とかがとにかく凄い可愛い。
色使いや構図や魅せ方はディズニーアニメの安心安定の超クオリティ。
音は1からちょっと性格が変わったな?と思ったらスタッフが違いましたね。
それとこちらもアトモスがベースとなっており、全体的にアトモスだなって感じるサラウンドを重視した造り方という印象です。
全体的にさすがだなとめっちゃ良いと思っていますが、時々サラウンドにBGMがメインで振ってあるのはちょっと好きじゃないなと。
理由としては映像はスクリーンで進行しているので視覚はスクリーンの中に没入しているところで聴覚は、森の中とかで天敵や危険を音で察知した時みたいに意識がそっちに向いてしまい、没入が一度キャンセルされるので好きじゃないんですよね。
鬼滅の刃の無限城編のOPでも似たような事やってましたが、アトモスは音楽をサラウンドに振るがベターなんでしょうか。
単純に僕の感覚が古いのかなとも考えましたが、どうもその演出でよかったと思った事がないので、難しい所。
とネガティブな部分もありますが、それを置いても2025年のTeir1勢と思っています。

『バーフバリ エピック4K』

baahubali-movie.com

バーフバリの前後編をまとめて4Kにした物です。
オリジナルの音とちゃんと比較してはないですが、ちょっと音変わった...?
インド神話の壮大過ぎる壮大さに負けない映像と音です。
そして3時間弱あるのに耳が疲れにくい!ちゃんとプレッシャーかかるところは凄いダイナミックな音が入っているのですが、静かなシーンでは音を凄い減らしていて、大抵普通の映画では日常シーンでも空気感や暗騒音のためにサラウンドとか実はちょっと鳴っているのですが、大胆にサラウンドを一切鳴らさないシーンや、音数をちゃんと選んでいるのか無駄な音が省かれているお陰であまり聞き疲れしないという作り方になっています。これはオリジナル版でもそうでした。

 

 

さてさて、こんなものかな。
本当はエディントンとかウェポンズとかもあるんですが、まだ通してちゃんと観れてないんです。仕事上で必要な分は観れてますが、しっかり全部観れてない。
だから今回は外しました。
あと、公開リスト見ていると自分が観てない映画で多分この映画音良さそうとか思う映画もちらほらありますね。本当は全部観たいんですがね。もう新作であっぷあっぷです。
技術的なブログも何か増やしたいなぁ。中途半端になっておる。ネタはいっぱいあるのですが表に出せない^q^
解禁できれば毎日でもブログ書けますけど人生おわっちゃう・・・
まあまったりやっていきましょ。

 

2025年の映画の音とか映像を振り返る(上半期)

新年あけましておめでとうございます。

晦日、元旦と普通に映写業務なので特に特別感がない悲しい感じですが、今年も頑張って映画館で映画を上映していきます。

さて、年越しする前にやっとけよって思いますが、今年はどの様な映画に出会えるかワクワクしながら、印象に残っている昨年の映画の音とか映像を振り返っていきたいと思います。

書いてたらくsssssssっそ長くなっちゃったので上半期と下半期で分けます。

個人的な感想をぐだぐだと書き綴るだけですがご容赦を。
順番は公開順です。

Ryuichi Sakamoto | Playng the Orchestra 2014』

www.wowow.co.jp

 

まずは坂本龍一の2014年のコンサートライブフィルムです。
ライブフィルムの中でも屈指の音の良さではないでしょうか。元はステレオベースだと思いますが、上手く5.1chにアップミックスされており、空間がちゃんと広がります。音質も丁寧にとても解像度の高い音が入っていました。ここまで解像度が高いならリアルのホールの音としてはバスはもう少し欲しいかなと個人的な気持ちはありましたが、本当にすごく綺麗な音でした。目を閉じるとオーケストラが見えると思えるくらいでした。映像もめっちゃ綺麗だったので目を閉じる事もなかったですがw大拍手でした。ディスクでもこのクオリティで楽しめるなら買おうかな...

 

ジュラシック・パーク 3D』

僕の映画館は3Dできないため上映していないので24年にやった2Dでの話です。
ただ触れておきたいくらいのクオリティだったので触れておきます。本当に1993年の映画とは思えない音と映像でした。映像のリマスターが凄すぎて現代の映画かなと思うレベルで綺麗でした。音は当時で初のDTSデジタル作品であり映画の技術史でも歴史的な作品でもあります。とはいえ30年以上前のマスターでしょと思っていましたが、全力で舐めた事を土下座しました。本当にすごいサウンドクオリティでした。

『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』

eiga.com

ティルダ・スウィントンが相変わらず美しすぎる...という気持ちで観始めたのですが、音の使い方が本当にすごい。楽曲の音質もめちゃくちゃ良いというのは当たり前ですが、音楽による心情描写や音による空気感の造り方が本当に良く、役者の演技と一緒に芸術的にストーリーテリングをしていて無意識に作品に没入させてくれます。
というか楽曲の音質が本当に良かったなぁ

『野生の島のロズ』

gaga.ne.jp

安心信頼約束された凄いクオリティと勝手に思っているドリームワークスのアニメーション映画。
今回もピクサー同様に前の作品でこれ以上もう作れないでしょって思わされたのにこいつら超えて来やがったよっていうくらいの映像と音でぶん殴られた記憶があります。
良く見ると油絵みたいな絵になっている作画と、エンタメ要素もありますが、しっかりと作られてアニメーションという空想の世界をリアルにさせてしまったサウンドデザイン。サラウンドとはこいうことだよ!!って納得させられるくらいに凄かったですね。
映像だけが凄いとか音だけが凄いとかではなくて両方ちゃんと凄いです。

『Flow』

flow-movie.com

アニメーションが続きますが、『Flow』も凄かったですね。
猫の視点での大自然の中での音がしっかり考えられて作られていながら、遊び心ある音使いが見ていて楽しかったです。
7.1chでありながらアトモスを感じられる天才的なバランスだったような覚えがあります。

『セッション』

gaga.ne.jp

『セッション』自体の公開自体は2015年ですが、4Kリマスターが上映されました。ぶっとんだ内容にぶっ飛んだ映像にぶっ飛んだ音というぶっ飛んだ映画です。
この映画、ドラムという楽器がメインなのにほとんどSWの0.1chが使われずに使われててもやたら信号が弱いので、メインスピーカーのLowの性能で戦わされるので映画館によってはかなり苦しい上映だと思います。そういった意味でも面白い作品でした。
まああと何度見ても面白いよね。

『岸部露伴は動かない 懺悔室』

kishiberohan-movie.asmik-ace.co.jp

この作品はとても勉強になる作品でした。
縁あって音響製作をされた高木さんと劇場での音響調整をさせてもらったのですが、とあるシーンでLowがいない!と言われて、「え、うちのシステムでLowが出てない…?」って思ったのですが、メインスピーカーで30Hzが入っており、たまたま上映したスクリーンだと70Hzまでしか下が再生できなかったので、悔しい思いをしました。
言い訳をするなら各スピーカーがフルレンジとして求められるのドルビーアトモスでも50Hzまで出ればいいんだよ!って言ってるのでメインスピーカーで30Hzはかなり厳しい!w

別の30Hzまで出せるスクリーンに移した時はちゃんと出てました。
これは結構実はあるあるで、逆パターンもあります。スタジオがLow出ないシステムで、再生されないので、作るときに処理が甘くなって映画館にきたらボフボフしちゃうというパターンもあります。セリフで多いですね。
調整のやり方も含めて良い勉強になりました。

『国宝』

kokuhou-movie.com

書いててびっくりしたんですけど、『国宝』まだ上映中なんですよね…w
これ6月の公開だったんだ…w

こちらも岸部露伴と同じように音響製作された北田さんと劇場での音響調整をさせてもらいました。
製作者事に音の掴み方や表現のとりかたが全然違うのでとても楽しいです。
『国宝』の音響調整でも僕が普段とらない手段で音のアプローチを試みるので一緒にやっていてとても勉強になりました。
いつも北田さんの音のダイナミックさにとてもびっくりしますが、今回も凄かったです。

『罪人たち』

eiga.com

僕、映画をいっぱい観るこの仕事やってるんですけどホラーが本当に苦手なんですよね。
なのでこの作品ちょっと?ホラー要素があるので怖かったんですが、うわxっっすgっげぇえって感情の方が上回っちゃうくらい音も映像もかっこよかったです。

とにかく音の使い方のセンスが凄い...僕が勝手に思っている映画に必要でしょと考える音作りの基本がちゃんと高い次元であるのは当たり前なのですが、その上でとても音で観ている人の感情を操るのが上手いなと思った記憶があります。

全体的に暗い映像なので、輝度とキャリブレーションをしっかりしてコンバージェンスもばちっとしてないと奥行がつぶれてしまってせっかくの美しい映像が台無しになるので投影の方も襟を正す気持ちの作品でした。

『F1(R)エフワン』

eiga.com

車好きとしてはとても楽しみにしていた映画でしたね。

音楽の使い方のカッコよさもさることながらフォーミュラーカーのエキゾーストサウンドやメカニカルサウンドへのこだわりが凄かったです。

嘘も多いのですが、本当にフォーミュラーレースを体験しているような音作りで普通ならただのエンタメサウンドを映画の演出にしちゃっているのが凄かったです。
ただ音作りが完全にドルビーアトモスをベースとされているなとわかってしまうので7.1chまでしかできない僕の劇場ではちょっと役不足だったなと思いました。
アトモスで観たかったなぁ...

 

以上が上半期で記憶に残っていた作品です。

他にも語りたい作品はいっぱいあったとおもいます。
まあ観てない作品もいっぱいありますが。てか1年の映画の公開本数多すぎでは...w

次は下半期です。近日中にアップします。

映画館でラージモニターは使えるのか

スタジオやホームのシステムと映画館のシステムの互換性って気になるよね。
と思っていたところ、色々なタイミングや理由が重なりGENELECさんが色々と協力してくれて、映画館の劇場でのスタジオモニターの再生テストをしてくれる事に。

GENELECさん本気の準備してくれました。フットワークの軽さ凄い。感謝しかねえっす。

 

 

機材の選定

スピーカーやアンプ、DSP等の選定に関しては完全にジェネさんにお任せしました。
ラージモニターとはいえスタジオ想定のスピーカー達なので、劇場は小さめの劇場を使うという事以外は映画館の環境そのまま使う感じ。設置は仮設だけどね。
スピーカーは

Cch 1234AC
LR 1234A
Sur 1238A
SW 7382A

錚々たる顔ぶれです。他DSPとかそいうのは忘れちゃった。

音源はDCP音源を出力します。なるべく劇場設備とイコールコンディションでと思ったので、シネマサーバーのAES/EBU出力をCP950で受けてアナログアウトまで同じ環境使いを映像もそのまま出るようにしてあります。

 

映画館でホーム基準のスピーカー設置

まずジェネさんの機材を持ち込むにあたり、劇場の寸法を元にスピーカー配置のシミュレーションをして劇場でのスピーカ配置を決めてくれました。

いわゆるITU-Rの推奨配置というやつがベースです。僕はその辺知らんのでほーんそんなのがあるんだなと。

一般社団法人 日本オーディオ協会 | ネットワークオーディオ/ホームシアター | 楽しむ | ITU-Rスピーカー配置は絶対か?

なんかこんなやつ
円をガイドに配置するようです。元はスタジオの推奨配置の考え方らしい。

フロントスピーカーは写真の通りの設置です。
サラウンドスピーカーは斜め後方に設置する感じになりました。
5.1chのスピーカーシステムとなります。

映画館のスピーカー配置もそこそこ推奨ルールがあったりしますが、雰囲気がそこそこ違いますね。

 

音のチューニングと音源

今回はXカーブやチャンネルの音量バランスをそのまま通常の映画館のBチェーンと全く同じ要領で作ったのと、ベースのシステムチューニングはGLMを使用してのオートチューニングと人の手を合わせてでのシステムとしてのチューニングを行いました。

GLM - ジェネレックジャパン
XカーブありとGLMのチューニングのみとの聞き比べもしました。

今回の音源はシネマサーバーからのDCPコンテンツ再生で、普通に映画です(色々な都合上タイトルは伏せます)。
Blu-rayとかではないので、ホームシアターでガチもんの音源を再生するという感じのニュアンスになるのかな。

これは一般家庭では再現不可能な実験だと思います。
映画はディスク化される時にほとんどの場合で家庭で問題なく再生できるように再調整された音がパッケージされているので、映画館で使っているDCPとディスクでは全く別物と言える程に音が違いがあり、邦画洋画全ての映画に当てはまります。
一部ガルパンのように劇場のデータに近いままでパッケージしてくれている作品もありますが相当レアです。

いつかディスクとDCPの聞き比べ実験したいと思います。BDプレイヤーによる音質の変化をどうするかという問題があるのですが...

 

実際に再生してみた結果

セッティングが終わり、実際に再生してみました。
結論としては、全然上手く鳴りませんでした。スピーカーの音は良かった。さすがのジェネさんです。問題は空間の違いですかね。

やはりシステムのスペックの想定スケールの違いが大きくでてしまった感じ。
パワーとカバレッジがどうも環境にマッチングしない。
ラージモニターだけあって、そこらへんのシネマモデルのスペックとあんまり遜色ないと思うんだけど。

スペック関係なしに根本的にITU-R推奨配置ってのが全然使えん。
これ家でもたぶん僕自身は使わないと思う。必要なのはスピーカースペックと環境に合わせた配置と設置とセッティングですね。

再生音に関してはGLMのチューニングだけで再生の方が音が良かった。あとジェネさんも想定していなかったGLMの面白い特性も見つかったり。
Xカーブを入れるととてもポンコツな音になってしまい映画の音でも無いなんか変な音だったなど色んな収穫もありました。

結果としてはもっと小さい箱じゃないと難しいなと思ったけど、ジェネの本国では同じ1234が採用されてる映画館もあるので、使い方次第なのは間違いないとは思う。
Luxury Finnish Lounge Cinema Chooses Genelec Loudspeakers - Genelec.com

この辺の結果からのガチ考察や対応策とか考えはそのうち読ませる気が全くない有料記事とかやりたいと思ったのでそっちで書きたいと思います。本音はお小遣い欲しい

以前から映画館の知識を元にホームシアターに落とし込んだ事をやりたかったので、今回の実験は逆視点からのとても良いデータが取れたと思います。
映画館の良いところをホームに落とし込むアイデアが色々と浮かんできました。

またこいう実験やりたい^q^

 

めちゃくちゃ色んな業者さんたちが手伝ってくれてできた実験でした。
あざました。

 

歴代興収が更新されるたびにやっぱあの映画は異常だと思った事

こんにちは。
久々のブログです。本当は映写ネタもあるんですが、別の事が書きたくなったのでそれを書きます。

先に言うとエビデンスがあるわけではなく現場の状況から読み解くみたいな感じなので本当にそうなのかは保証ないです。あまり真に受けないでね。

 

鬼滅の刃 無限城編第一章」が日本の映画興行収入のTOP10に食い込む

(’A`)。0(あかざが変換できん)
もの凄いスピードで映画の興収TOP10内に入った無限城編第一章。
皆知っての通りですが、無限列車編は歴代堂々のぶっちぎり一位ですね。
難攻不落ではと勝手に思っていた「千と千尋」から100億弱も離してのぶっちぎりです。公開一か月くらいの2025年8月11日のランキングデータで既に無限城編第一章も6位。

歴代ランキング - CINEMAランキング通信

無限城編第一章が更に上振れて2位に入ったら第三章までTOP4が全部「鬼滅の刃」という事も起きそうですね。
シリーズ物ってシリーズを増すごとに大体7~8掛けくらいの動員数になるという事がほとんどなので、1~3章が全部綺麗にランクインは現実的には難しいかもですがそれでも3章まで全部TOP10は入っちゃいそうですね。

1章がこの勢いが衰えずで、どうせ長期間上映させられるのでこの勢いが緩く落ちていく程度であれば無限列車超えも視野に入ってきますね。
ちょっと色んな界隈で荒れそうw

なんでこんなに興収が爆発的だったのか

正直、僕はこんなに大ヒットすると思っていませんでした。
無限列車の時はコロナ禍だったのもあってちょっと特殊ケースだったというのもありましたし、世間が鬼滅のコンテンツにまだこんな熱量があると思っていなかった...

今回の無限城は鬼滅自体の人気もありますが、それ以上に少し力業だった事も大きいんじゃないかなと思っています。

まさかのほとんどの映画館で全スクリーンで上映というお祭り騒ぎ

いやまあ動員の見込みからの割り当てなので妥当だと思うんですが、他の作品もあるんだから他の配給さんブちぎれてもおかしくないと思うんですよこれ。

どう思ってるんですかね。

鬼滅様のお通りじゃぁっていう感じでだいぶ他作品は公開時期とかいろんな忖度で影響あったと思います。たぶん。

この回数を回すならせめて2時間にしてほしい...という気持ちもありますね。
無限列車の時も似たような感じだったんですけど、あの時は公開延期とかで他に上映できる作品も無くて映画自体が凄い少なかったんですね。だからできた回し方だと思っていたら、まさか今回も同じくらいの回数回すとは...と驚きました。

近年の映画で興収ランキングが更新されると「アイツ」はやっぱ異常ではと思う

タイトル回収ですが、この興収が更新されると無限列車の時もちょっと思っていましたが、やっぱり『千と千尋の神隠し』が異常だなと。あと『タイタニック』もだいぶやばいなと。

何故かというと、この映画達は公開当時は35mmフィルムなんですよ。
千と千尋は一部の映画館ではDLPでのDCP上映があったようです。
まあ10館程度なので誤差かなと。それと当時のDCP環境は今ほど簡単じゃなかったはずと思います(15年ほど前に使っていたDLP機材から考えると)

どうして其れが異常に思うにつながるかという説明をします。

同時に上映できるスクリーン数が限られる

まず第一に一つの映画館で上映できるスクリーン数が限られます。
何故かというと今の映画はDCPなのでデータ上映です。そのため全スクリーン、例えば10スクリーンで上映するにもボタン一つくらいのニュアンスで凄く簡単です。
元のデータが一個あればいいので。HDD一個が送られてきて200GBくらいのデータをTMSにインジェストしたら、後は各スクリーンのSMSにコピーするなりして終わりです。

35mmフィルムはそんなわけにはいかないのです。
10スクリーンしようと思ったら10本の本編フィルムを送ってもらわないといけないのですが、そもそも全国ロードショー映画で一館に10本も送ってたら現像所が蒸発しますたぶんwアニメなんてどうせギリギリまで作ってるんだから
上映後の在庫処理も大変なんじゃないかな、今度、現像所に詳しいというか務めてた人に聞いてみようと思います。

映画館も大変です。1タイトルで10本も来たら保管庫あふれちゃう映画館も多いと思います。ウチは溢れます。
映写室も巻き取りしたリールの保管で溢れちゃう...

あと公開一週間前くらにフィルムって来るのですが、そこから10本も編集とか狂気の沙汰です。編集だけなら5本くらいまでなら対応できると思いますが。

映写機自体は回すことに変わりはないので大丈夫なんですが、保管場所の問題がとても大きいかなと思います。

ただし!一個だけ解決する方法がありまして、ノンリワイドの映写機に備わっているインターロック方式です。これで上映している映画館もあったんじゃないかな。そこはいっぱい上映を回せたかもしれない。

インターロックとは一本のフィルムで複数の映写機で上映する方法です。
インターロックをやった事ある人はみんな口をそろえてもうやりたくないって言ってました。事故率がとても高いらしい。いやまあ仕組み観る限り絶対事故ると思いましたw

僕の映画館は縦巻き全自動映写機でノンリではないためこの方式は使えません。

まあそんなこんなで、同時に上映できるスクリーン数を確保できる映画館は少なかったと思います。少なからず今回の鬼滅みたいなブン回しはできなかったかと。

ちなみに、うちの映画館での公開当時の上映スクリーンは何スクリーンだったの?と聞いたら、1スクリーンだったらしい。

1....

フィルムは物理的な制約がうまれる

次にフィルムは物理的な制約が生れるです。
まあ保管問題もそうなんですが、フィルムは上映しているとどんどん擦れて劣化していきます。映像も汚くなりますしAC3とかのデジタルサウンドだった場合は読み込み不良が起き始めてアナログサウンドに切り替わってしまいます。

そういった事をなるべく抑えて延命するためにフィルムの清掃メンテ等を定期的に行います。これめっちゃ大変で時間取るので同じフィルムが同時にいっきに来るとメンテタイミングが全部被り、想像するだけで胃もたれします。

上映期間が長くなればなるほど劣化が進むほど、気を使うためメンテは大変になります。そしてある程度擦るとフィルムの交換が必要になります。

僕の映画館では千と千尋は9か月上映してフィルムは一度交換してもらったと言ってました。

そういった物理的な劣化が前提となっているメディア形態なので、おいそれと責任を負って何本も借りて上映するというのは厳しいです。

 

他にもこまごまと色んな35mmは弊害はあります。
なので近年のDCP上映でのように興収を爆発的に稼げるようなブン回しは難しい時代だったなと思います。

僕の映画館なんて9か月も回したとはいえ、1スクリーンでしたからね。

2時間5分で予告入れると一日6回上映が良いところです。
当時は映画館で映画を観るという文化がまだ根強かったというのも改めて感じます。

さらにそう考えると『タイタニック』はあのスーパー長尺であの興収はやっぱヤバいですねw

映画のチケット代が今より安い

これはあまり詳しくないですけど、今って普通にチケット買うと2000円~2200円しますよね。イオンとかだと1800円のままでしたっけ?

そうすると割引とか使ってる人もいっぱいいますが、全体的な客単価は増えてると思うんですよね。適当かは分かりませんが、実際にちょっと前にTOP10入りしたくらいの興収と動員数をわったら1400円超えくらいの単価でした。
千と千尋は発表されている数字が本当なら2350万人なので316億を割ると1350円くらいで、やっぱちょっと単価低いんですよね。
これだけの人数が動員されているので50円くらいの差も凄い差になりますよね。
そんな時代にこれだけの数字をたたき出したのはやっぱ凄いと思います。

 

まとめ

まあそんなまとめる事もないんですけどね、35mm上映だった映画が未だランキング上位として君臨しているのは上映回数が今みたいに稼げなかったり時代の違い的にもやっぱ凄いなと改めて思いました。
それに、他の映画も満遍なく結構入っていたので今みたいに1タイトルだけやたら入っているという状況でもなかったですね。僕が映画館に入ったころでさえ土日は全てのスクリーン全ての作品が終日満席近くまで埋まっていたというのは良くありました。
今はというかここ数年そんなの観た事ないな...


記録は更新されるものなので、鬼滅みたいな凄い作品がもっと出てきてまた皆が映画館に通うようになり興収ランキングをどんどん更新していってほしいですね。

レーザープロジェクターと眼鏡の相性

はいこんにちは。

今回はちょっとレーザープロジェクターと眼鏡のお話です。

 

最近、視力が落ちて眼鏡を作りました。
そして、以前から言われていた事があります。
レーザープロジェクターと眼鏡は相性が悪いと。

せっかく眼鏡作ったので自分でもどうなのか検証したり、いつもお世話になっているエンジニアさんに協力してもらいいろいろと実験してみました。

レーザープロジェクター視聴時での眼鏡の弊害

レーザープロジェクターの映像を眼鏡で観たときにはどういった事が起きるのかという現象を知っている限りでピックアップしてみます。

・色が滲む

・虹色っぽい色が見える

・色が変になる

良く言われているのはこの辺りだと思います。

 

色が滲む

これは色収差の事です。おしゃれなイラストとかで輪郭線が赤緑とかの二重線になっているあれです。イラストは表現ですが写真とかでも起きる事で、アーティストさんとかだとわざとそうした表現をする事がありますね。
あれが起きます。眼鏡の縁辺りで良く見受けられるようで、度が強くレンズの球面が激しいレンズで起こりやすいようです。

今回僕が買った眼鏡のレンズは安価とはいえ平面レンズだったためか、この色収差を自分で体感する事はできませんでした。ただ視聴角度などの条件が合えばもしかしたら起こりうるかもと思います。

 

虹っぽい色が見える

これはあまり詳しくわかりませんが、僕の後輩が眼鏡かけてると良くなるらしいです。理由はよくわかりませんが、コーティングや乱視用とかそいうので影響されてそうですね。

 

色が変になる

そのままの意味で裸眼と色が違います。

実際僕が買った眼鏡も、見た目はとても透明度が高くほぼ肉眼ではクリアにしかみえないのですが、それでも眼鏡をかけてみると色が変わります。

どうもアンチグレアと防傷などのコーティングのせいだそうです。

自分の眼鏡で観た限りでは緑が映え気味に見えすこし黄色味が強いような、ほとんど白な青系の光の加減もなんかちょっと色が違うように見えます。

ただ色の違いはレーザープロジェクターに限らず、全ての色に適応されるのではとも思い、実際の緑色の物や自然をみたり、家の有機EL テレビや同じく有機ELですがiPhone14proの画面を裸眼と比べてみたのですが、レーザープロジェクターほどの差を感じませんでした。たぶんコーティングの影響はあるとおもうので差は出来ているとは思うのですが、あからさまな差はないように思いますが、白色の光は少し違うかなという感じ。
その事から直進性の強い光であるレーザーは顕著に変わるのではないかと思っております。学術的なエビデンスは持ってませんのであくまで個人比較。

映画館の映像の色

前知識として、映画館の映像で使われている色について説明します。

映画館のプロジェクターの色はDCI-P3という色域を使っています。なんそれって感じだと思うので、そこら辺のディスプレイやプロジェクターよりたくさんの色を再生できるよって感じで覚えておいてもらえれば大丈夫です。まあ最近は高性能な物が増えたので一概にそうではないのだけど。

人間の認識できる色を色相環の平面図みたいな色の海図みたいなやつにしてその上にRGBの座標を測定で割り出し指定して、結んだ三角形のエリアがプロジェクターが表現できる色として適応されます。

 

そして基準は光の三原色であり赤、緑、青の三原色の光で映画の色は再生されています。

最近映画館で主流になってきているRGBレーザープロジェクターは三原色の原色の光である赤、緑、青を各々をレーザーの綺麗で強い光で映しだすので色の再現性が高いとかなんとか。

 

キャリブレーション

次に色補正の作業についての説明をします。
業務機である映画館のプロジェクターはカラーキャリブレーションという、その色が正しく再生されているかどうかを測定して更正するという作業を定期的にやります。映画館のプロジェクターに限らず色を扱う仕事をする人がつかう機材はどの機材も絶対に行っている作業です。

レーザーユニットの状態やプリズムの経年、DMDの状態といった色んな要因で色はズレるので映画館では欠かせない作業です。

正しく更正されたキャリブレーションカメラでRGBの原色の色を測定し、色のデータを入力して出力される色の補正を行っていきます。

僕の今メインで使っているバルコのプロジェクターはRGBを測定してその色域座標をいれると白の色域座標が決まり、白の座標点を元に正しく色がでているかを判断する感じになっています。

座標点はDCI-P3でRGBWとともにXYの値が定められていて、±のある程度の許容値はありますが、その座標点を目標に測定して更正していきます。

その座標点をみるキャリブレーションカメラは冒頭にある写真がそのカメラです。とてもお高い。

 

レーザープロジェクターの映像を裸眼とメガネで色を比べる

色収差とかはちょっと僕の眼鏡では上手くできなかったのもありますが、今回は色への影響を見ていく実験をしてみたいと思います。

まず普通に色のキャリブレーションを行います。
そのキャリブレーションを行った後にキャリブレーションカメラに眼鏡をかけてみて、色の座標点がどうズレるかを計測。
肉眼ベースでの色の変化ではなく思いつきの実験ですが、色にどう影響するかの参考にはなるかと思います。

 

実験

実験に使用したのは僕の眼鏡のレンズとエンジニアさんの眼鏡もお借りしました。
エンジニアさんの眼鏡は詳細わかりませんが、量販店のよくあるレンズですが度が結構強い分厚い物で、あと確か乱視も入っていたはずと言ってました。

僕はとてもガチャ目なので左目と右目で全く仕様が違うため、両方で試してみました。

実際のところ、眼鏡レンズのコーティングやら仕様やらなんやらの質でも全然違うと思うのであくまで参考です。

 

僕の眼鏡のレンズデータ

メーカーと型式

ZEISS

フィニッシュドSV AS 1.60 DVS

レンズ1 Sph:-1.25

レンズ2 Sph:-0.00 Cyl:+0.50 A:90

の二つの眼鏡レンズになります。 
Sphが-1.25の方をレンズ1Sphが-0.00の方をレンズ2として、エンジニアさんの眼鏡レンズをレンズ3とします。

 

まず普通にキャリブレーションした数値です。

R

X 0.6743 Y 0.3196

G

X 0.2628 Y 0.6846

B

X0.1511 Y 0.0618

W

X 0.3125 Y 0.3503

という数値になりました。大変良い数値です。各色には基準点と許容値が存在し、その基準点にいかに近くするかをする作業です。許容値も結構狭いのですが、かなり基準点に近い数値です。よく劇場の映像が綺麗って褒められるスクリーンですので数字で見ても納得かと思います。

この数値をベースに眼鏡をかけて測定してみます。

 

表にしました。一番左が基準のキャリブレーション数値です。

 

R   レンズ1 レンズ2 レンズ3
0.6743 X 0.6743 0.6757 0.6755
0.3196 Y 0.3193 0.3189 0.3193
G        
0.2628 X 0.2662 0.2685 0.2657
0.6846 Y 0.6815 0.6800 0.6818
B        
0.1511 X 0.1511 0.1520 0.1519
0.0618 Y 0.0619 0.0627 0.0623
W        
0.3125 X 0.3141 0.3159 0.3152
0.3503

Y

0.3520 0.3524 0.3494

 

割と細々と数値は動きますが、カメラの仕様的な問題で数値は若干測定するごとに変動するので、完全に一緒じゃ無い事もあるので、すごく小さな変動は変化無しとします。

見る限り、肉眼での感覚と同様にGつまり緑の数値の変動が大きいですね。
Rはほとんど影響されず、Bもレンズ2では少し動いています。
数字で見る限り、度の影響より乱視補正の影響の方がありそう。レンズ2は度は入っていません。なのでGはプラスティックメガネのコーティングの影響と乱視補正の影響がでているとみるのが自然かなと。ただコーティングの差は思っていたより微々たるものですね。
RBに関してはレンズ1のRBがほぼ同じ数値で乱視が入っているレンズ2と3でRBの差がでているという点をみるとコーティングの影響はほぼなく、RBは乱視補正で影響が出るという事が考えられるのかなと。
Wに関しては、赤や緑の方に少し座標が動く感じですね。色的には黄色っぽい色による感じ?

RGBWの各許容値にかんしては、色ごとに違いまして、Bが一番許容値が狭く厳しいです。
一番ずれているGも許容値範囲ではあるので、この数値であれば普通に許可は出てしまう数値ではあるのですが、この微妙な差が肉眼での比べでだいぶ影響がでていると考えると、人間の眼の精度ってすごいんだなと思いますね。

 

まとめ

・メガネのコーティングでは緑色への影響が大きい。

・乱視補正でRGB全てに影響される。

・コーティングと乱視補正が両方あるとその分足されてズレるのでズレが大きくなる。

という感じでしょうか。

キセノン機でも試してみたいのですが、今自分の劇場にキセノン機のDLPが無いのですよね。
クリスティのキセノンDLPほしいなぁ!!!!!!

今回の実験はあくまで現場レベルの簡単な物なので、レンズメーカーさんとかがおそらくもっと詳細で完璧なデータをとっていると思います。もしかしたら何処かにちゃんとしたデータがあるかもしれません。
それと、目がいい人ならレーザー光源以外でも変化は感じ取れているのではないでしょうか。

今回はそこそこ面白い実験ができたなと思いました。
また何か思いつきで実験したいなぁと思います。たまには音の実験もしたいな。