明けましておめでとうございます。
今年もよろしくね。という事で新年最初のブログは、以前ちょっとブログネタにもしました
achamiya.hatenablog.comこのリップシンクの測定と調整をやっていこうと思います。
結論だけ言ってしまえば、以前調整したままズレてなかったので調整はしなかったのですが、今回は業者さんに頼らずセルフでやってみました。
測定器さえあれば、ホームシアターでも可能というかポスプロやホームシアターでの調整の方が遣りやすいと思います。参考にしてみてください。
リップシンクの測定器
リップシンクの測定器があります。ちょっと前に某XのAさんに頼んで買ってあったのですが、積んだままだった測定器「Sync-One2」を引っ張り出しました。
これがその測定器。やり方としては白色の画像の点滅に合わせて3kHzぐらいのビープ音が鳴るのをマイクとカメラで拾ってどのくらいズレているかを測定します。
取説を読んだ感じ、設定としてこちらがしておくのはフレームレートの設定だけで良さそうなので、フレームレートを設定します。
映画のフレームレート(単位はfps)は秒間24枚の映像なので24fpsになります。
単純な感じが扱いやすくていいですね。
測定に使うテストファイルを用意する
本体の設定がおわったら、テストチャートファイルを目的や再生に対応したフォーマットで用意します。
メーカーのHarkwoodのサイトからDLできます。
フレームレートと映像コーデック、音声フォーマット、トラック数にといろんな種類があります。ただし1080x以下と4Kに関してはそんなに種類はありませんでした。
映像処理の遅延でズレルと思うので、UHD等の素材を想定しているホームシアターであれば4Kのファイルを使うといいかもしれません。
一通り探しましたが、映画館で使うDCPでは配布されていないっぽいですね。
ということでDCPを作成します。
あまり映像コーデックには詳しくないため、適当に仕様をぐぐりながら当たり障り無さそうなH.264を使い、24fpsでPCM音声で5.1chというファイルを使用する事にしました。
正直、映像の点滅とビープ音が同時に再生されればテストファイルとして問題ないはずです。
Variableというバージョンもありますが、こちらは点滅が不規則に点滅するようになっています、平均アベレージで観る場合そちらの方が良いと思いますが、今回はとりあえずスタンダードの一定間隔の点滅ファイルを使用します。
ブルーレイ上映ではプレイヤーの処理遅延も入ってくるので、できればブルーレイディスクにリッピングしたものも作りたかったのですが、BDの書き込みできる環境がないので今回はスルーしました。USBメモリーからの再生もできますが、一応ディスクの読み込みという同条件での測定をしたかったのでブルーレイプレイヤーの測定は今回は見送りです。
DCPに変換して、上映サーバーにインジェストしたところ、しっかり再生できました。よかったよかった。
ちなみに、DCIの基準でDCPはLinuxベースで作成するのが基本となっています。小さい配給とかではWinやMacで変換している物がたまにありますが、基本はext3やext4のジャーナリングファイルシステムとやらを使用するようです。NTFSやHFSもサーバー側は一応対応させてはいますが、よく読み込みできなかったりします。
それと読み込みはできたところで、再生ができない場合もあるので、基本的には興行で使うデータはIMAGICAやキューテックのようなちゃんとしたところに頼みましょう。
撮影したiphoneの問題で滲んで見えるけど、実際はとっても綺麗に映ってます。
映像と音声のズレを測定するよ
準備ができたので測定していきます。写真みたいな感じでテストファイルを再生しつつ、Sync-One2のカメラとマイクをスクリーンに向けます。
ちなみに電源入れたときにキャリブレーションのアクションが入るのですが、その時にもテストファイルを再生して測定しておくと良いそう。
5.1ch素材ですがCchからしかビープ音はでません。ただCchで基本は合わせるのでこれでおkです。
こんな風に表示されます。前回の調整時と全く同じポジションで測定しました。
全くずれていません。Aというアベレージの項目では多少上下しており+002となっていますが、ほぼ000なので大丈夫でしょう。
本来であればこのmsと書かれた部分の数値をみて、+020と表示されたなら、音が20ms速いという事のため、音響機材の方で20msのディレイをかけます。映画館であればプロセッサーか上映サーバーにディレイ機能があるのでそちらでディレイをかけます。-で表示された場合音が遅いので映像にディレイを掛けなければですが、基本的に映像の方が遅いのでめったにそんな事は無いと思います。CODA AUDIOとかのめちゃくちゃ遅延のおきる処理の鬼みたいなスピーカーを使用していれば別ですが。
まあ処理速度って基本的に機材事のスペックの遅延が割と正確なので、あまり前後しないかなとおもいます。
折角なので、最前列と最後列でも測定してみました。
最前列です。
当たり前ですが、音声が速くなり26ms先に届きます。だいたい移動距離で9mぐらい前方に移動したのでほぼ正確に音速分速くなっている感じです。
フレームでいうと0.6フレーム分速く音が聞こえているという事ですね。
次に最後列を観てみます。
当然ですが、誤差000msの地点から後ろなので音声が映像より遅くなりました。
基準としている000msの地点はドルビーポイントとしているので後方までの距離の方が近いため、影響は最後列の方が少ないです。
まあ通常の映画を観ていて30msの違いが分かるかと言われると少し疑問ですが、しっかり合わせている事が気持ちがいいので拘りたいと思います。
やってみて思った事
さて、測定をしてみて思った事があるのですが、このリップシンクってどこで合わせるのが正しいのでしょうか。
スクリーンからの音声を基準に考えるのであれば最前列で合わせる方が正しい気がするとも思いました。人間はその音の遅れを距離感としてちゃんと認識できるので映像に合わせるなら最前列ではという疑問があります。
ただサラウンドを考えるとドルビーポイントのようなスイートスポットで考えるべきだと思いますし、ドルビーアトモスなどはシミュレーション上は劇場中央を起点にオブジェクトを配置していく形だったと思うので、やはり劇場の音の基準点で合わせるのがいいのかなとも思い応えが出ません。DCIとかで明確にきまってるんですかねこれ。
あと、スピーカーの時間軸の調整はまた別途の調整となります。Cchの音声と映像があっているからといって、他のスピーカーが合っているとは限りません。LとかRは遅れているかもしれない。
映画館のBチェーンでインパルスなどを視てスピーカーのタイムアライメントまで見ている劇場って少ないため、ここも要チェックですね。
それともう一つ懸念ですが、たぶん3kHzのこの高い音って事はクロスが3kHz以下で組まれているスピーカーでツィーターだけでビープ音を再生している場合、ここできっちり合わせてもmid以下のユニットはツィーター程速く動けないので、そこもズレるんじゃぁないかなぁと思ったりして、沼りそうです。
まあ最近のスピーカーはユニット遅延がだいぶ改善されているのであまり考えなくてもよさそうですが。
とまあ、測定としてはとっても単純で簡単な事ですが、映像と音を突き詰めていくとなるとこういった小さいところにも拘っていきたいですね。
良い勉強でした。
ちなみに家庭でもできます。このSync-One2は10万弱で購入できますので、拘る人は一家に一台如何でしょう。
ではまた