こんにちは、今回は映写のお仕事ってどんなお仕事なんですかってよく聞かれるので、私のいる映画館での映写のお仕事って何をしているのかを紹介しようと思います。
写真をつけたかったのですが、どうしても社外秘の部分がかかってくるので写真にしにくいため今回は文だけです、味気ないですがすみません。
まずお仕事の紹介をする前に、簡単に私の考えを書いておきます。
今、映写技師と言われる人は少ないですし、私自身は映写技師と思っていません。映写担当です。便宜上で映写技師と紹介する事はありますが、技師と言えるほど技術をもっていません。
本物映写技師さんは本当に凄いです。何人か知っていますが、某映写室からのつぶやきの管理人のあの方とか本物の映写技師だなって思います。いやマジで敵わない。。。
なので映写技師のお仕事ではなく、映写のお仕事なのです。
さてちょっと説教じみた事を書いてしまいましたが、紹介と解説をしていこうと思います。
ちなみに、映写のお仕事って映画館によって業種が違うのかってぐらい十館十色です。
なので、あくまで私のいる映画館での話になります。
映写のお仕事 映写の日常編
1、オープンとクローズ
どんなサービス業もそうだと思いますが、とても大事な作業だと思います。
その日1日安全に営業できるように、上映に関連する機材たちを入念にチェックしながら電源をいれていき、上映の準備をしていきます。その日の営業が終わったら、後ほど紹介する営業後の作業がある場合以外は、丁寧に電源を落としてクローズしていきます。
2、コンテンツ管理
以前であれば35mmフィルムでの在庫管理でしたが、今はHDDや、USBフラッシュメモリがメインで、取り扱う映画の上映素材を管理しています。
映画の入ったHDD等が配給様から送られてきますので、データは劇場の大きなサーバーに移して、HDDは万が一のデータトラブルのバックアップのために一時預かりしていたり、他の映画館様に宅急便などで発送したりします。この流れは35mmフィルムでも一緒で変わっていませんね。
まだたまに35mmを上映したりするので、そのフィルムも預かり保管したりしています。
めちゃくちゃルーチンワークになるのですが、信用問題やコンプラ、上映の可否などが絡んでいて、とても責任重大な作業です。
3、上映の確認
主に、上映開始、上映中、上映終了時の3パターンで上映中の確認をします。
まあ、ちゃんと上映できるかなできたかなっていう確認です。
安全に上映するためにこれもとても大切な作業です。
4、プレイリスト、上映スケジュールの作成
SPLと言われるプレイリストと、何時に何処のスクリーンで何の映画を上映するのかというスケジュールの作成をします。
この辺はデジタル映写!って感じの作業です。
SPLでは、予告編と本編を組み込み、場内の電気やらプロジェクターの制御やらのキューをセットしていきます。
結構、気に入ってる人も多い作業で、予告編の編成って配給の指示がなければこの時の担当者の好みで決まります。担当の好きな映画も絡んでくるので某戦車道のあの事件みたいな事がたまに起きたりしますすみません。
このプレイリスト作成にあたる作業を35mmでは編集作業と呼んでいます。
上映スケジュール作成とは、映画館の番組担当が決めた上映作品のだいたい1週間のスケジュールをもとに、オートメーションで上映するためにセットしていきます。まあミスったら大変なトラブルになるので、ここもかなり慎重な作業です。
番外編
最近は、トークショーなんかのイベントが多いため、マイクとか出囃子のセッティング、イベントのオペレーションもやります。最近私は、日中のオペレーションに参加してないので、今では後輩たちのほうが上手かったりしますね。PAさんかな?
映写のお仕事 営業時間外編
1、試写テスト
映写のお仕事!って感じでもあり、役得なお仕事の一つですね。
フィルムとデジタルでは見るところが変わってきますが、上映が問題なく行えるかというチェックとなります。
デジタルって必要あるの?という疑問もたまにもらいますが、結構再生トラブルを起こすので、ここで確認を絶対にしておきたいところです。
フィルムに関しては、やはりアナログ的な映写になるので、デジタルとは違う物理的な動作チェックと映写機のセッティングをメインで行います。
それとこの試写テスト時に上映ボリュームを決めます。
このボリュームに関しては界隈でよく話題になることなので詳細は別の記事にしようと思っています。
なので簡単な説明になりますが、理屈上で言えばボリュームは固定で問題ないはずなのですが、ダメですね。固定でできません。必ずチェックします。
それと、その延長で、音の調整が必要かどうかの判断をします。必要だなって思ったら、3の作品ごとの音響調整の項目を行います。
映画をお客さんに出す前に劇場を独占してみる事ができる本当に役得な仕事です。
まあやっぱりなんだかんだこの試写テストが一番好きですね。
それに何度も映画に助けられたという経験をしています。
2、設備チェックとメンテナンス
スピーカーがとんでないかとか、アンプが死んでないかとか、映写機は問題ないか映写窓まだ綺麗?とかをとにかく思いついた箇所をあの手この手でチェックして直せるところは自分たちで直します。
試写テストと同時進行で行う事も多いです。
映写機であれば清掃やオイル交換、油をさしたり。デジタルとアナログサウンドヘッドの読み取り調整をしたり。
プロジェクターであれば色味のチェックをしたり輝度調整ですね。画角調整とかもたまにします。
あとは季節によってちょっと音関係にちょっと手をいれます。最近はsmaartとかを覚えてきたので、そんなFFT測定のツールをつかったりしてますが、測定で見えない部分もあるので結構聴感作業になります。
音って温度や湿度、お客さんの着ている服で変わってしまうので、やはり季節によってちょっと変えたいですね。
3、作品ごとの音響調整
まず最初にいうと、普通の映画館はしません。というか本来必要ないのです。作品は製作者が作ったままを提供するのが映画館の仕事の一つです。
これもどちゃくそ言いたい事が多いので別記事にしますね。
一応ちょっと言っておくと、なるべく本来の音に近づけようとしています。それと設備の保護があったりします。
そのために、いろんな方に無理を言ってスタジオを見学させてもらったり、作ってる環境を見せてもらったりしています。まあ余りにも難しい事なので理想通りには出来ませんが、目指すところはそこです。出来るかどうかよりやってみるって感じです。
4、爆音上映なんかの音響調整
たぶん、みなさんが一番興味あるところじゃないですかね。
作品ごとの音響調整の一つでもあるのですが、エンターテイメントに極振りした調整作業です。
私のいる映画館が他の映画館と大きく違うのは、日本を代表する超凄い音響エンジニアの方に来ていただいて調整をしてもらっている事でしょうか。このクオリティを出すにはやはりその道のプロになっても難しいですし、今の私には難しいですね。
でもいつも後ろで勉強させてもらっています。
本当は私もやりたい
そんな中、岩浪音響監督とかはたまに私を使ってくれるのでとてもその時は嬉しいです。感謝しかありません。力みすぎて空回りしちゃう事も多いですが、(表に出す前のBLAME!とかはやりすぎた)作った人と一緒になると作品を変えてしまうのではという不安が無く楽しく作業ができるのが強みです。
さて、今回も長文ですが、これでもだいぶ簡略化しました。文章構成力の問題です、、、
細かい事はもっとありますが、今の私のいる映写のお仕事って大きく分けるとこんな感じですね。
ではまた。