はいこんにちは。
今回は映画館スタッフが勧める映画というのは良くあると思うのですが、ちょっと視点を変えて映写としてのオススメする映画をピックアップして、なぜそれがオススメなのかを映写視点で解説という名の布教をしていきたいなと思います。
普通、オススメとか言うなら新作すすめない?って思われると思うんですが、新作じゃないです。今年の年始に上映していた映画です。今映画館で観れないですすみません(どこかで上映しているかな?)。
フォードvsフェラーリ
という映画です。
レースの中でも最も有名なレースの一つ、ル・マン24時間レースを題材にした映画で、ル・マンの数あるストーリーのなかでも、GT40というめっちゃかっこいいアメリカの伝説的レースカーが活躍するちょっと昔の実話です。
話がめちゃくちゃ私のツボを全て網羅しているので、話だけでもオススメしたいのですが、音と画づくりがとても映写が試されてるなって震える作品です。
画なのですが、年代を表現したいためかちょっとセピアっぽい?褪せた感じの色味です。専門用語はわかりませんが、パキっとした色ではありません。
そして、明るいシーンが多いです。このような、色が浅めで明るいシーンはプロジェクターの状態がとても試される画となります。
SXRDという私が使用しているプロジェクターでの話になるので、DLPはちょっと分からないのですが。
このタイプの色味は、プロジェクターの色の調整が狂って表面に出てきやすい赤や緑といった色が中間色等に悪影響を及ぼしやすく、プリズムという機構のヘタリだったり、ユニフォミティの調整がずれてきている時の影響をもろに受けてしまいます。
あと、物が速く動いているているシーンが多いので、SXRDの描画がもっさりしたプロジェクターだとはっきり苦手だなーと感じます。
しかし、きっちりセッティングをだせば、浅い色のうえに少しの絶妙な立体感とSXRD特有かなと思っているちょっとした温かみのある色というか描画の綺麗な映像を観る事ができます。
かなりの数が全国で導入されているソニーのSXRDプロジェクターですが、良い条件で稼働しているプロジェクターは少ないと思います。
それとこの映画に限ることではないのですが、やはり劇場の迷光が多いと、ちゃんとした色として発色し難い画の一つです。
ホームシアターのプロジェクターでもちょっと難儀するんじゃないかなーと思っています。
続いて音ですが、
この映画に限らず、車の音というのは録音からして難しく、再生するとなるとさらに難しい部類の音になります。
何故かというと、パルスのような瞬間的な爆発音の音が車の音ではメインで多いので、まずこの世界に現存するスピーカーユニットがそのオリジナルの音に追いつけません。
しかも排気音などは低域がメインだと勘違いされやすいですが、高い帯域が全て同時に発音しなければちゃんとした排気音にはなりません。それもかなりの大振幅の音波をもって耳に届いてこその車の音です。なので実車と比べるとどうしてもちょっとボヤケた音になります。
実車のレースカーやチューニングカー、スーパーカーの音を聞いた事ある人なら言われると、ああ確かにって思ってもらえると思います。
それを上手くちょっと嘘ついてる感じでリアリティある音になっちゃってるのがこの映画ですね。いや狙ってるのかはわかりませんが、そう感じました。
タイヤのスキール音とかも似たような理由でかなり再生が難しいのですが、良くそれっぽく入れてるなって思います。音から路面温度を感じさせるタイヤの走行音も素晴らしいです。これらの音全て、スピーカーの質が物を言います。
コーナー侵入の音だけで、いま前荷重でノーズが少しインに向いていっている、、!という感覚が伝わってくる感じと画もそれをしっかり表現してくれているので、車好きは脳汁が止まらないと思います。
そして演出上の音の引きもあり、箱の残響特性が試される。さらに、サラウンドの繋がりが甘い劇場がすぐ分かります。元が綺麗なつながりのサウンドミックスほど、少しの甘さで上手く繋がりません。
それとクリスチャンベールがちょっともごもごした声なんですよね、これも綺麗に再生するには難しい音です。
以上の事から上映するにはかなりの度胸が必要な映画で、冷や汗いっぱいかきました。
5.1ch以上のホームシアターを組んでいる人は是非、BD等でマルチチャンネルでの再生をしてみてください。ステレオのシステムでも細かい音の再生が難しので、全てのホームシアターの腕試しに最適なソフトだと思います。
この映画で味噌なのは大きい音が出るかではなく、レースのリアリティがある音が出せるかが評価の味噌かなと個人的には思っております。
...再生難しいよっていう内容になっちゃいましたが、難しい方が再生してて楽しいじゃん?的な感じでオススメって事で...お願いします。
ではまた。